2014 Fiscal Year Research-status Report
価値づくりの技術経営:意味的価値と組織能力の理論・実証研究
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24530453
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
延岡 健太郎 一橋大学, 商学研究科, 教授 (90263409)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 意味的価値 / デザイン価値 / ソリューション / デザインエンジニアリング / 組織能力 / 積み重ね技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画通り、2014年度は、定性的調査に加えて定量的な調査を実施した。生産財企業における、意味的価値の創造とその価値づくりへの影響について、生産財企業200社に向けてネット上での質問票調査を行い、統計的な分析と論文の執筆がほぼ完了した段階にある。結果としても、技術的優位性と同時に、顧客のビジネスを熟知し、ソリューション提案を行うという形での意味的価値創出が、利益率に強い影響をもつことが、他の多くの変数を制御した上でも明らかになった。 加えて、消費財についても、意味的価値の理論的な内容についてさらに深掘りし、ダイソン社(英国、シンガポール、東京)での、聞き取り調査も加え、デザイン価値の議論を展開した。一橋ビジネスレビューで特集号(2015年 デザインエンジニアリング 機能かデザインかの二者択一ではない)を編集し、デザイン価値(意味的価値)のマネジメントとしての「デザインエンジニアリング」の概念化と事例研究を実施した。その中で、本研究における意味的価値・デザイン価値の成果をさらに社会的に展開させるために、6本の論文と、2本のインタビュー記事を集め、広く世の中に提案することができた。その中で、本研究から「デザイン価値の創造―デザインとエンジニアリングの統合に向けて」という論文を執筆し、デザインとエンジニアリングの融合の必要性とメリットを理論的、実証的に議論した。 さらには、「リスクマネジメントTODAY」においては、「模倣をされない価値づくり経営」と題して、意味的価値と積み重ね技術の総合的なマネジメントこそが、模倣を避けるための最大の武器になるとの理論を展開した。このように、生産材の意味的価値について、定量的調査、消費財については、主に定性的調査、また、総合的に模倣をされないマネジメントに結びつく議論、と本研究テーマについて質量ともに計画通りの成果がうまれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生産材の意味的価値について、定量的調査、消費財については、主に定性的調査、また、総合的に模倣をされないマネジメントに結びつく議論、と本研究テーマについて質量ともにおおむね順調に進展させることができた。 本年度は研究計画通り、定性的調査に加えて定量的な調査を実施した。上の研究実績に書いた通り、生産財企業における、意味的価値の創造とその価値づくりへの影響について、生産財企業200社に向けてネット上での質問票調査を行い、統計的な分析と論文の執筆がほぼ完了した段階にある。 消費財については、意味的価値の理論的な内容についてさらに深掘りし、デザイン価値に関して、一橋ビジネスレビューで特集号(2015年 デザインエンジニアリング 機能かデザインかの二者択一ではない)を編集し、意味的価値の重要性とマネジメントについて、広く世の中に提案することができた。 また、意味的価値と積み重ね技術の総合的なマネジメントこそが、模倣を避けるための最大の武器になるとの理論を展開した論文も執筆した。このように、おおむね、研究計画通りに、進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は最終年度であり、計画通り、研究を具体的に更に進めるとともに、アウトプットのまとめ、つまり論文執筆および研究会での発表なども積極的に実施する予定である。具体的な研究としては、第一に、2014年度に実施した生産材の意味的価値に関する質問票調査の結果を、理論構築も含めて論文にする。第二に、消費財の意味的価値に関しては、ダイソンなどエレクトロニクス産業での研究が、これまで主体だったので、2015年度は、自動車の研究も実施する。特に、具体的には、自動車のデザイン価値に集中して、事例研究を実施する予定である。 これらも含めて、生産材と消費財の意味的価値、さらには、組織能力の議論も統合しつつ、大きな価値づくりをするためのマネジメントに関して、統合的に議論した論文を執筆する予定である。
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Causes of Carryover |
研究結果の集計と発表のために購入を予定していたアップルMacBookの新型の発売が2015年4月にずれ込むこととなったので、2015年度に入り注文することになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、上記の理由で記入したとおり、MacBookの購入にあてる。
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