2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規分野における製品・サービスの開発を促進させる技術評価能力と国際競争力の構築
Project/Area Number |
24530460
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
亀岡 京子 東海大学, 政治経済学部, 准教授 (80589614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福嶋 路 東北大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (70292191)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 医療機器 / 製品開発 / ユーザーイノベーション / 北欧企業 / 国際競争力 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究期間の3年間に、理論面のレビューを行いつつ、実証部分では生活支援機器や介護機器・用品などが実際に開発され利用されている現場で聞き取り調査を実施した。対象は、生活支援ロボットを現在試作中の企業、生活支援機器や用具を開発する部門を持つ病院、同様の製品を作るメーカーと共同開発する福祉施設などである。最終年度には、医療機器メーカーの中でも特定分野において世界市場で売上No.1を占めるデンマークの中堅企業を訪問し、研究・技術開発関連部門の部門長の方々に話を聞いた。 聞き取り調査の結果、技術標準が未確定な分野の製品開発においては、技術評価能力を明らかにする鍵となる概念は「ユーザーイノベーション」であることが分かってきた。また、医療機器や生活支援機器といった製品特性も考慮する必要がある。それは、一口にユーザーといっても2つの立場があるためだ。すなわち、病院の医師・看護師・検査技師や介護施設の職員という「使う側」と患者や入所者という「使われる側」である。医療機器などにおいて、ユーザーは技術を保有したり、アイディアを提供することはほとんどない。そのため、開発者が利用環境において、ユーザーのフィードバックを主体的に獲得しながら、技術・製品開発を行う。そのインタラクションはユーザーイノベーションの概念ではまだ議論が不十分であることが確認できた。 暫定的な結論としては、技術標準などが未成熟な新規分野の技術・製品開発においては、ユーザー環境の丁寧な観察、および製品販売後も常にユーザーの利用状況を見て、技術面での改善活動を行い、それを製品に取り込めるかが重要な鍵になることが分かった。 さらに、国際競争力の面では、製品そのものの技術力と共に、ユーザーの利便性を考慮した販売後の迅速な保守修理などサービス・システムの構築が重要な要因の一つであることも明らかになった。
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Research Products
(4 results)