2012 Fiscal Year Research-status Report
地方のオンリーワン型中小企業の企業家活動と競争力の源泉
Project/Area Number |
24530462
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
戸前 壽夫 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (40308763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 幸三 上智大学, 経済学部, 教授 (40240014)
ウ リン 岡山商科大学, 経営学部, 准教授 (60554003)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | オンリーワン型企業 |
Research Abstract |
研究テーマである地方立地のオンリーワン型中小企業に関する先行研究の文献調査を行い、さらに具体的なヒアリング調査として、岡山県赤磐市の(株)メイト社と岡山県岡山市の内山工業(株)を共同研究者3名で訪問した。メイト社は、微粉細加工の下請けを行っていたが、発注先が自社で行うようになり、経営危機にプラマグへ活路を見いだすことになった。当時、プラマグは、大手化学・電機メーカーが参入していて、メイトは後発であったが、国内シェアの大部分を取ることになった。その理由は、大手メーカー各社が歩留まりの悪いプラマグを個別に生産するより、メイト社が一手に生産を引き受ける方が効率が良いという経済原理が働いたと考えられる。このようなプロセスで地方立地のオンリーワン型企業が形成された事例である。内山工業は、コルク材からスタートした企業である。コルク材を取り扱う企業は他にもあるが、他社はコルク中心の事業を行っている。内山工業は、取引先企業からの要求もありラバーを使用したガスケット材へ進出した。同社にとっては多大な投資を必要とし、コルク材製品に留まる選択しもあったが、経営者が進出を決断した。この場合のリスクは、需要の有無よりは、技術開発であった。同社はこの進出によって銅製品のオンリーワン型企業となった。別に訪問したナカシマプロペラは、船舶プロペラに関する高い設計力と熟練職人による大型プロペラ製造が特徴である、オンリーワン型企業であるが、その過程では、大手造船メーカーが撤退し、独立系ナカシマプロペラに発注するということも同社をオンリーワン型企業にさせる要因となった。オンリーワン型企業の形成には、百社百様のところもあるが、より事例研究を積み重ねれば、いくつかの類型化が行えるという手応えを得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地方立地のオンリーワン型中小企業に対するヒアリング調査を行うことで得られる調査データを活用することで、既存の研究が到達し得ていない以上の貢献をできそうな感触を得ている。もちろん今回訪問した企業が、非常に協力的であったという幸運も重なっていることは否定できないが、オンリーワン型中小企業の形成プロセスをいくつかの類型として捕捉している。このような作業を積み重ねることにより、さらなる類型を見つけ出し、最終的に操作可能な理論として提示する見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、企業のヒアリング調査を精力的に積み重ね、さらに先行研究を精査して、学会報告や論文投稿を積極的に行っていきたいと考えている。また本研究グループ以外の研究者からも意見のフィードバックを得たいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
企業のヒアリング調査を行うための旅費、学会報告のための旅費、文献や資料を入手するための費用、テープ起こしの費用などが中心となる予定である。
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