2013 Fiscal Year Research-status Report
BRICsにおけるフォルクスワーゲンと現代の環境対応車の開発とモジュール生産
Project/Area Number |
24530467
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
朴 泰勲 大阪市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (50340584)
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Keywords | 互換的資源・補完的資源 / ヨーロッパの自動車部品産業 / 韓国の自動車部品産業 / 組織間協業 / 特許の非関連多角化 / 資源ベース理論 |
Research Abstract |
研究の内容:フォルクスワーゲンなどのヨーロッパの完成車メーカーに部品を納入しているサプライヤー530社の取引、モジュール化、特許に関するデータを集めて、それがこれらの企業のパフォーマンスに与える影響についてデータ分析を行った。データ分析は部品契約の生存時間分析という手法を使って行われた。部品のモジュール性、グローバル生産拠点の展開数、特許の多角化、特許の共有、特許申請の傾向などを独立変数として使用し、これらの変数が従属変数である部品取引の生存時間にどのような影響を及ぼすのかについて分析した。分析結果、部品のモジュール性が部品取引のスイッチングの危険性が高まるという仮説は支持されなかった。むしろ、特許取得の非関連多角化が部品取引のスイッチングの危険性を高める一方、完成車メーカーとの特許の共有は部品取引の終了の危険性を低下させることが明らかとなった。 また、現代と起亜自動車の生産のモジュール化を企業の資源ベースの視点からアンケート調査分析を行った。今回の調査はアンケート調査による回帰分析がベースになっている。企業の資源は互換性の高い資源と補完性の高い資源に分けられる。製品のモジュール化は生産協業における互換性の高い資源の蓄積を高めて組織間分業を進めるが、開発では互換性の高い資源より、補完性の高い資源の蓄積を促し、組織間協業を促進することが分析で明らかになった。 研究の意義:これまでの先行研究は自動車部品メーカーの製品のモジュール化をコモディティ化というマーケティング的な視点から論じる研究が多かった。しかし、本研究では資源ベース理論的な視点からモジュール化が企業のパフォーマンスに及ぼす影響について調べることで、異なる資源の蓄積が開発と生産の組織間協業に及ぼす影響について明らかにした点で意義があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年、BRICsの現地調査を計画していたが、現代自動車の研究協力者が会社を退社しており、現地訪問調査が難しくなった。そのため、現地での研究調査が予定より少し遅れている状況が発生している。しかし、データ分析においては様々なデータの確保が順調に進み、今後の全体的な分析では計画どおりに研究が推移する可能性がある。特に、フォルクスワーゲンと取引をしているヨーロッパの自動車部品メーカーの取引に関する詳細な情報を確保することができた。また、現代自動車の部品メーカーへのアンケート調査なども進んでおり、今後その結果をベースに学会誌に投稿を進める予定である。また、国際学会(IFSAM)での報告が確定しており、学会会場から受けた質問とコメントをベースに論文の完成度を高めて、ジャーナルに掲載できるように仕上げていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現代自動車の訪問調査と部品メーカーの調査を計画通りに実施するためには、現代自動車の新しい調査協力者を見つけることが重要である。今年はインドの現地調査ができるように様々なルートを通じて調査日程を確定していく予定である。また、学会誌に投稿してから帰ってきたコメントをベースに論文の完成度をさらに高めていく必要があると考えられる。国際学会誌の場合、競争が激しく、審査過程も厳しいので、海外の研究協力者とのネットワークをさらに広げて論文の理論的貢献度を向上させていく計画である。さらに、2014年は今回の研究の最終年度に該当するので、国内誌にも論文を投稿する計画である。今回の調査で意義のある問題発見として、モジュール化と特許がどのように相関し、最終的に企業のパフォーマンスにどのような影響を及ぼすのかという点が挙げられる。そのため、特許と関連するデータをさらに詳細に調べる必要があると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、インドの現代自動車の調査を計画していたが、現代自動車側の担当者が会社を退社することになり、現地調査の日程調整が難しくなった。その結果、予算の一部の使用ができず、次年度使用額が発生した。 今年は現代自動車側の協力者を確保し、予定していたインドでの調査を実施していく予定である。特に、現代自動車のモジュール部品メーカーがどのように現地で生産システムを展開しているのかについて調査する計画である。残った予算は概ね現地調査のための研究旅費として使う考えである。
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