2013 Fiscal Year Research-status Report
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24530469
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
上野 恭裕 大阪府立大学, 経済学部, 教授 (30244669)
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Keywords | ファミリービジネス / 伝統産業 / 事業承継 / 中小企業 / 新事業開発 / ネットワーク |
Research Abstract |
文献・資料の収集、整理を行うと同時に、スイスで開催されたファミリービジネスの国際学会IFERAに参加し、多くの研究者とファミリービジネスの優位性、問題点、課題についての意見交換を行い、ファミリービジネスの事業承継についての国際比較に関する情報を収集した。また日本で開催されたファミリービジネス学会にも参加し、ファミリー企業の長寿性に関する定量的実証分析を実施している研究者や伝統産地(陶磁器産地)の協働と企業者活動についての研究を実施している研究者らと意見交換を行い、ファミリービジネス、ならびに伝統産業の両方の観点から研究上のアイデアを蓄積することができた。 日英企業の国際比較研究において、組織形態と多角化戦略は日本と英国でそれぞれ固定的であること、それに対して日英企業の差は大きく、日本は多角化が限定的で、それに応じて職能別組織構造が多いのに対し、イギリスは多角化を積極的に行い、それに応じて事業部制が多くなっていること、しかしながら企業内部の事業部に対する管理システムをみると、日英企業ともに大きくその組織構造を変化させ、集権化へと舵を切っていたことが明らかとなった。 また中小企業のファミリービジネスで事業承継を行い、新事業開発に積極的に取り組んでいる企業の事例について研究を行い、その結果を日本ベンチャー学会において発表し、日本企業のファミリービジネスの競争優位性の一端を示し、論文にまとめた。論文では電子部品販売業を経営する企業家が、新事業開発を行うことを目指し、大学院に入学し、修士論文を作成することにより新事業開発が促進された事例を紹介し、新事業開発における論理的思考力とネットワークの重要性を示すことができた。また関西における機械工具商のビジネスシステムについての研究成果を公表した。この発表においてもファミリービジネスにおけるネットワークの重要性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査相手の都合により、インタビュー調査が実施できず、翌年度に繰り越したが、文献、資料の収集、情報交換、情報収集はおおむね順調に進んでおり、学会での発表も行い、多くのコメントをもらい、研究アイデアの蓄積、修正を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、海外の企業へのインタビューを精力的に実施し、これまで少し手薄であった海外ファミリービジネスの事例を蓄積し、国際比較研究を完成させる。具体的にはスイスの学会で交流を深めたスイス、フィンランド、ドイツ、スウェーデンなどの研究者と意見交換を行いながら、インタビュー実施企業の選定、インタビュー項目の精緻化、インタビュー結果を踏まえてのディスカッションを行い、研究成果を学会等で発表し、論文にまとめていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していたヨーロッパのファミリービジネス企業へのインタビューが、相手方との調整が難航し、実現できず、その分の海外旅費の相当額に余裕が生じた。 今年度に実施できなかった海外企業へのインタビューを重点的に行うことにより、今年度の次年度への繰越分を有効に活用し、さらに、次年度の予算と合わせ、国際比較研究のための海外企業へのインタビューを積極的に実施する。
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