2014 Fiscal Year Research-status Report
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24530474
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
吉田 猛 青山学院大学, 経営学部, 教授 (00200999)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 起業者活動 / エフェクチュエーション / 日本の起業者 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度において実施した日本国内の起業者に対する質問票調査のデータに対して、複数の分析手法を適用し、得られた結果の検討を繰り返し実施した。結果的に、母比率の差の検定が最適の分析方法であると判断し、それを使ってデータ処理を再度行い、出てきた結果に詳細な検討を加えた。 得られた結論の概要は次の通りである。基本的に10年超の経験を持つ起業者はエフェクチュアル論理を採用する傾向が大であったが、複数回の起業を行った起業者はそれとは対照的に因果論理を採用しがちであった。エフェクチュエーションのこれまでの議論では両者に差異を認めてはいなかったため、さらなる精度の高い調査は必要であるが、起業者の起業経験上の差異によってエフェクチュエーションの採用傾向に違いが生じる可能性を見いだせた点で新たな知見をこれまでの議論に加えることができたと考えている。また産業の影響が大きくサービス産業はエフェクチュアル論理を使用する傾向が強いことが分かった。今後この面においてもさらなる調査が必要であると考えられる。 これらの分析結果を基にして、10月において開催された日本情報経営学会第69回全国大会で研究成果の報告を行った。コメンテータからのコメントおよび参加者との質疑応答を通じて、エフェクチュアルな起業者活動の理論面および日本の起業者におけるエフェクチュアルな特性に関する実証分析の結果に対して、さまざまな示唆をもらうことができた。 なお、質問票調査時に面談調査を依頼する文書を同封し、その依頼を受託してもらった起業者に対して行った調査結果(録音した音声データ)から、その内容の文字起こし(テキストデータ化)の作業に関して得られた音声データの一部を終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度において、質問票調査および対面調査ともにデータ分析を終了させ、最終的な結果を出す予定であったが、質問票調査の分析ツールに対して習熟していなかったこと、そして精度の高い結果を得ようとして複数の分析ツールを適用したこともあり、分析に想定以上に時間を取られた。また、得られた結果に対してどのように捉えるべきかという点に対しても複数の可能性があり最後までいずれを取るべきか、理論と照らし合わせて検討を繰り返したため、この点でも時間が想定以上にかかってしまった。 その結果、同時並行的に進めていた文字起こし作業を一時期停止し、そのため対面調査の結果の最終的な分析に進むことができなかった。次年度は文字起こしをすべて終え、テキストデータから最終的な結論を得る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
質問票調査の結果および学会報告の際に受けた示唆を再度十分に吟味し、エフェクチュエーションの理論との整合性を考えながら、最終的な結論を論文として書き上げることに努めていく。また、対面調査のテキストデータに対して検討を加え、上記の論文の中に反映させていくことにする。
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Causes of Carryover |
今年度で終了する予定であった面談調査で収集した音声データをテキストデータ化する作業とその分析、および質問票調査の最終的な分析と結論の確定を終えることができず、次年度へ持ち越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
音声データのテキストデータ化の作業に対する費用、意見交換のための学会参加、論文執筆のために必要な文献の購入、および成果の印刷費を考えている。
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