2012 Fiscal Year Research-status Report
中国におけるCSR(企業の社会的責任)の研究―中央企業の取り組みを中心に―
Project/Area Number |
24530482
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
酒井 正三郎 中央大学, 商学部, 教授 (10138612)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中国 / CSR / 中央企業 / 企業経営者 / 一般市民 |
Research Abstract |
本研究は、中国企業のトップランナーである中央企業(中央政府機関である「中国国有資産監督管理委員会」の直接管理下にある企業で、2012年末時点で合計112社)のCSRへの取り組み状況を調査し、中国の他の企業群(地方国有企業、郷鎮企業、民営企業、外資企業etc)の経営者や一般市民のCSR理解・実践と比較することによって、移行期中国のCSRの特徴と構造について摘出しようとするものである。取り組みの初年度である平成24年度は、当初の計画では、夏季休暇中の9月に中央企業へのアンケートとヒアリングを実施する予定で、同年4月以降より各企業の連絡先(者)の確認や質問表の整理などを行っていた。ところが、日本政府の尖閣諸島国有化に端を発した、反日デモに象徴される日中間の激しい摩擦の発生によって、政府(党)直属の中央企業の反応は途端に厳しいものになり、日本人研究者への協力は基本的に期待できないような状況に至ってしまった。そこで、同年度は目先を変えて、平成25年度以降の課題と位置づけていた一般企業の経営者と一般市民向けにアンケート調査を実施することとした。場所は北京・上海・大連・成都・西安などの各都市で中国側知人(研究協力者)を通じて、主としてネットにより実施した。経営者向けは112通(内有効回答104通)、一般市民向けは436通(同392通)を回収し、現在その分析を行っているところである。日本人研究者による、中国のCSRに関するこのような大規模な調査はこれまでなされたことがなく、その意義・重要性はきわめて大きいものがあると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は3ヵ年計画で開始されたものであり単年度だけの成果測定は困難である。上でも述べたとおり、当初の計画で予定していた中国中央企業へのアンケートとヒアリングは尖閣諸島の領有権問題という日中間の懸案事項の政治的問題化により、これがアカデミズムにおける草の根交流にも影響したため、平成24年度内には実施できなかった。 とはいえ、3ヵ年計画の2年目以降に想定していた中央企業以外の一般企業の経営者向けアンケートや一般市民向けアンケートは、当初研究計画書で予定していた数を大幅に上回って実施、回収することができ、この点では上首尾な達成度をマークし得たと評価している。この成果は研究計画書にも記載した中国側研究協力者の尽力に負うところ大である。 現在集計作業が終了し、データの分析に入ったところであるが、予定より数が多くなったためその所用時間は想定よりやや長めにかかるものと見込んでいる。 なお、平成25年度は夏季休暇中に、本来平成24年度夏期実施予定の中央企業へのアンケート・ヒアリングを行う予定である。言うまでもなく、日中間の政治的状況に依存するところ大であるが、仮に数社という数であっても、中国人研究者の協力を得ながら可能な範囲内で実施できるよう最大限努力したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上にも記載の通り、中国中央企業は中国中央政府(実質的権限関係でいえば経営者の選任権などを持っている中国共産党)の影響力が強く、それゆえ同企業へのアプローチの在り様は、その時々の政治状況に大きく左右される。その意味で、中央企業へのアンケートとヒアリング実施の成否は、今後の日中関係の展開に待つところ大である。 とはいえ、研究協力者である中国人研究者からの紹介によって、政府に対して影響力を持つ大学や政府系シンクタンクに在籍する著名な研究者を新たに研究協力者に迎えることができたので、仮にアンケートやヒアリングの実施が難しい場合でも、中央企業におけるCSR関連の資料の入手などは可能になるものと考えている(その場合には、文献・資料をベースとした静態的研究が中心になるが、それはそれで、「中央企業はCSRに熱心に取り組んでいる」というプロパガンダ的情報は数多くあったもののその具体的内容は不明な点が多かった現状からすれば、一定程度それを明らかにする価値は小さくないものと考えている)。 また、平成25年度の課題として重要であるのは、上述した前年度実施の経営者と一般市民へのアンケートの分析作業を進めることである。この結果は中間報告として5月と9月に学会報告を予定している。 なお、平成24年度の研究費予算は、42万7,226円の使用残が発生した。これはそのまま中央企業へのアンケート・ヒアリング実施のための旅費・滞在費・謝金等に予定していた部分である。なお、一般企業の経営者や一般市民向けアンケートは当初よりネット利用を想定していたため、研究計画書では有意の予算計上は行っていない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、したがって前年度未実施に終わった中央企業へのアンケート・ヒアリング(アンケートは可能な限り直接手渡し方式で行い、回収時に併せてヒアリングも実施したいと考えている)を行うことになるので、当初計上した平成25年度の本来的予算と併せて前年度繰り越し分残金が消化される予定である。 なお、時間的に可能であれば、これまで中国経営者へのCSR実態調査としてはほとんど唯一のものを実施している「ドイツ労働問題研究所(IZA:The Institute for the Study of Labor)」(ドイツ・ボン市)を訪ね、担当研究員であるL.ZuとL.Songと意見交換ができればとも考えている。
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Research Products
(2 results)