2012 Fiscal Year Research-status Report
日本製造業におけるサプライヤー・システムの国際比較研究
Project/Area Number |
24530490
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
青木 克生 明治大学, 経営学部, 准教授 (20318893)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 国際情報交換 / ブラジル / イギリス / ドイツ / インド |
Research Abstract |
2012年度は,国内調査,海外調査,研究成果発表という点において大きな成果を残すことができた。以下順に成果を報告していく。 国内調査については,自動車・同部品産業におけるサプライチェーンマネジメントの歴史と実態について調査を展開した。具体的にはトヨタ堤工場,トヨタ元町工場,デンソー高棚工場,デンソー技研センター,トヨタロジスティック管理者へのインタビュー,日本板硝子元副社長へのインタビュー,TPMコンサルタントへのインタビューなどを実施した。 海外調査については,まず8-9月においてブラジル・リオデジャネイロ,サンパウロを訪問し,現地研究機関と連携を図りつつ,ドイツを中心とする欧州系と日系現地企業の比較研究を実施した。訪問企業としては,ホンダディーラー,日産ディーラー,ブラジルホンダ,ブラジルTSテック,G-TKBブラジル,日信ブレーキブラジル,ピルキントンブラジル,メルセデスブラジル,ボッシュブラジル,PSAブラジルなどがある。2月には,イギリスを訪問し,現地自動車・部品企業のサプライチェーンマネジメントについての実態調査を行った。訪問企業としては,トヨタUK,ジョンソンコントロールUK,デンソーUKなどがあり,合わせてイギリス自動車産業の業界団体であるSMMTを訪問し,今後の連携可能性について話し合った。 研究成果発表としては,まずは以下2つの国際学会報告を実施した。6月にはアムステルダムで開催された4th Joint World Conference on Production & Operations Managementに参加・報告し,9月にはイギリス・カーディフで開催されたBritish Academy of Managementで参加・報告を行った。論文としては,9月の調査結果をまとめた論文を経営論集で発表したほか,2つの国際ジャーナルへの掲載が確定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画においては,2012年度では「国内での意見交換と文献研究,海外研究者との共同研究などを行いつつ海外実態調査の理論的土台を構築することに努める」ということが主な目的とされていた。 まず国内活動については,自動車サプライヤー研究会への参加を通した国内研究者間での意見交換をほぼ2カ月に1回開催し,意見交換を図るとともに東京大学MMRCや早稲田大学自動車部品産業研究会と強固なネットワークを構築することが可能となった。また「企業活動のグローバル化と日本のもの造り企業」という講座を半期14回開講し,トヨタ,ホンダ,日産関係者との意見交換も実施した。国内実態調査については,トヨタ,デンソーなどトヨタ系企業への訪問・インタビューを展開することができ,成果報告については,ブラジル調査の結果を『経営論集』で報告することが可能となった。 海外活動については,当初予定していたブラジル実態調査を展開することが可能となった。ブラジルホンダ,フォルクスワーゲンブラジルなどの自動車メーカー,ピルキントンブラジル,ボッシュブラジルなどの自動車部品メーカー,さらには現地自動車ディーラーなど合計10以上のインタビュー調査が展開された。それと同時にブラジルにおいては,Dr. Luiz Felipe,Silvia Zilber,などの研究者とネットワークを構築し,有益な情報を収集することが可能となった。海外学会報告については,当初予定していた4th World Conference on Production & Operations Management,British Academy of Managementでの報告を予定通り実施した。 以上で展開された様々な活動を通し,「グローバル標準とローカルテーラーメント」という調査活動の理論的土台を見出すことが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進の方策として,まず「日本製造企業のサプライヤー・システムの有効性と限界を海外企業との比較において明らかにすること」との当初の目的は引き続き探求していく。 当初から問題意識として挙げられていた3点のうちの1点目,「日本とドイツ自動車・部品メーカーのサプライヤー・システムがそれぞれの母国において有する有効性と限界」については,若干の修正を行っていく。本年度の成果としてイギリスとの間で強固なネットワークを構築することが可能となった。そこで日本との比較対象をドイツから欧州へと広く定義することでイギリス,フランスなども含む幅広い自動車メーカー・サプライヤーへと注目していく。 2点目として挙げられていた「現在注目されている新興国(中国,インド,ブラジル)における日殴のサプライヤー・システムの有効性と限界」については,引き続き探求を続けて行く。本年度においてインド人研究者と強固な関係を築くことが可能となったため,今後の方策としては特にインドに注力した調査を展開していく。 3点目として挙げられていた「日本企業あるいは日本本国にメリットをもたらすグローバル・サプライシヤー・システムのあり方」についても,引き続き探求を続けて行く。この点については,現在深刻な問題となっている中小企業の生き残りと空洞化の問題により大きく注目していく。本年度では,このテーマと関係するアンケート調査がすでに実施されており,今後はそれをベースにさらに詳細な調査を展開していく予定である。 最後に研究成果の公表についてであるが,当初の予定通り,引き続き国際学会への報告と国際ジャーナルへの投稿を精力的に実施していく。1年で最低2-3回の国際学会での報告,2-3回の国際ジャーナルへの投稿を引き続き行い,国際ジャーナルへの掲載という成果を増やしていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度においては,海外調査,海外学会報告,国内調査,謝金,物品,その他などで研究費を使用していく予定である。 まず海外調査においては,8月第4週-9月第1週においてインドを訪問し,自動車・部品メーカーを訪問する予定である。この調査はインド人であり,インド自動車産業とつながりの深いカーディフ大学のManeesh Kumarと共同で行う予定である。双方の調査費用は合計で90万円となることを計画している。 海外学会報告については,すでに報告が決定しているEuropean Group for Organizational Studies (6月アイルランド・ダブリン),European Group for Organizational Studies (7月カナダ・モントリオール)に参加する予定である。この2つの学会参加費用は合計で55万円となることを計画している。 国内調査については,国内情報提供者への謝金を含めて10万円の支出を予定している。それ以外には,関連する著書,ハードディスクやUSBメモリー等の関連する物品,その他で5万円の支出を予定している。次年度は合計160万円を支出予定である。
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Research Products
(5 results)