2013 Fiscal Year Research-status Report
日本製造業におけるサプライヤー・システムの国際比較研究
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24530490
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
青木 克生 明治大学, 経営学部, 准教授 (20318893)
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Keywords | 国際研究者交流 / イギリス / インド / 自動車産業 / サプライチェーン / カイゼン活動 / 調達 / 人材開発 |
Research Abstract |
2013年度は,2回にわたるインドでの海外調査,2回にわたる国際学会での報告という点において大きな成果を残すことができた。以下順に成果を報告していく。 1回目のインド調査は,2013年8月25日から9月7日の2週間に渡って展開された。1週目はバンガロール市周辺において,Toyota Kirloskar Motor,Toyota Boshoku Automotive India,TG Kirloskar Automotive,DENSO Kirloskar Industriesといったトヨタとその1次サプライヤー,さらには2次サプライヤー3社の計7社の訪問を実施した。さらに現地ビジネススクールIIM Bangaloreを訪問し,インド人研究者との意見交換も実施した。2週目はプネ市周辺において,TATA Motors,Johnson Controls India, TATA Autocomp Systems,Varroc Polymers,Volkswagen Indiaといったインド系・外資系企業計5社への訪問調査を実施した。 2回目のインド調査は2014年2月16から22日の1週間において実施された。バンガロールでBosch Indiaの訪問と,現地研究者との情報交換を行った後に,プネを訪問し,Tata Motors,Behr India,YoonWoo Automotive,Volkswagen Indiaといった現地系・外資系企業4社に対する訪問を行った。また現地自動車部品工業会ACMAへの訪問も実施し,インドにおける自動車・同部品産業の実態についての一般的な情報収集も行った。 研究成果発表としては,まずは以下2つの国際学会報告を実施した: the 20th Annual International EurOMA Conference,SASE 25th Annual Conference。また論文としては,9月の調査結果をまとめた論文を経営論集で発表したほか,ハーバードビジネスレビューなど2つの国際ジャーナルから成果が出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画においては,2013年度では国内調査,海外調査,最低2回の国際学会報告,海外研究協力者との共同論文の国際ジャーナルへの投稿が主な目的とされていた。 国内調査にいては,ホンダ,日信工業,住友スリーエムなど関連大手メーカーに対してグローバル戦略についてのインタビューを実施した。海外調査については,上で述べたように計2回のインドでの現地実態調査を通して12社からインタビュー・データを得ることができた。このような実態調査を展開する一方で,Journal of Operations Management, International Journal of Production Economicsといった関連国際ジャーナルからリーン,サプライチェーン,カイゼンといったトピックに関わる多くの論文を収集し,精力的な文献レビューも実施した。この文献研究と実態調査の結果は,海外研究協力者との共同論文の作成として具体化されている。1つは,Kaizen initiative through vertical supply networks in emerging economiesとのタイトルでAoM 2014のプロシーディングスとして投稿され,アクセプトされている。もう1つは,Institutionalization of effective production networks in India: Different types of strategies for filling institutional voidsとのタイトルでEGOS 2014のlong abstractとして投稿され,これもアクセプトされている。これら2つの論文は,審査コメントを受けて国際ジャーナル投稿に向けて書き直しをしている最中である。 その一方で,2013年は,The new, improved keiretsuと題する論文が Harvard Business Reviewから,Monozukuri capability to address product variety: A comparison between Japanese and German automotive makersと題する論文がInternational Journal of Production Economicsからそれぞれ出版されている。これは予想を上回る成果であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進の方策として,大方は当初の計画に従って進めていく一方で,新興国として最も注目されている国の一つであるインドにより焦点を絞っていくことを計画している。その理由としてまずは,2020年までに生産規模が1千万台近くへと拡大する成長市場であるという点が挙げられる。これまで実務家向けセミナーなどでインド自動車産業についての講演を行ってきたが,日本企業はとりわけ大きな関心を持っていることが窺えた。インドへと調査の焦点を絞っていくことで,より多くの知見を実務家へと還元することができると思われる。次に,現在のインドには日系,欧州系,アメリカ系,アジア系と様々な国から多くの自動車メーカーが進出してきており,新興国市場でのサプライチェーン・マネジメントの比較を行う上で最適の調査フィールドである,という点が挙げられる。また3点目として,調査データのアクセス可能性という点も挙げることができる。研究協力者であるカーディフ大学のManeesh Kumarはインド自動車メーカーに対するコネクションを多数有しており,これまでの調査においてもこのコネクションが大いに役立ってきた。さらに,これまで実施してきた調査対象企業との間でも良好な関係を維持しており,さらなる調査の充実化を図る上では最適な環境にあると言える。 最後に研究成果の公表についてであるが,当初の予定通り,引き続き国際学会への報告と国際ジャーナルへの投稿を精力的に実施していく。1年で最低2-3回の国際学会での報告,2-3回の国際ジャーナルへの投稿を引き続き行い,国際ジャーナルへの掲載という成果を増やしていく予定である。2014年度は,Journal of Operations Management, Journal of International Business StudiesといったAランクの国際ジャーナルへの投稿を予定している。
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Research Products
(8 results)