2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530510
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
前田 祐治 関西学院大学, 経営戦略研究科, 准教授 (70456747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
メッセイ デヴィッド 関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (50294244)
杉野 文俊 専修大学, 商学部, 准教授 (50407631)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換(米国) / キャプティブ / 保険 / 経営 / リスクマネジメント / リスクファイナンス |
Research Abstract |
本研究の目的は、「キャプティブを通じてのリスクファイナンスが英米の企業に比べてなぜ日本企業に浸透しないのか?」という研究課題を、マクロ的なアプローチとミクロ的なアプローチといった二つのアプローチで、三つの仮説を実証分析により検証する手法で解明しようとするものである。平成24年度は、計画では実証データを入手する年であった。その全体の成果としては、計画していたデータ入手をスムーズに行うことができた。具体的には以下の手法で、定性的・定量的な実証データを入手した。マクロ的なアプローチに関しては①海外のキャプティブ設立地(米国バーモン州バーリントン、バミューダ、ルクセンブルグ)を訪問し、キャプティブ・コンファレンスに出席し、定量的な情報の入手、現地で設立地の監督庁、キャプティブマネジメント会社、キャプティブ会社社長とのインタビュー等を行うことで定性的なデータを入手した。これらの訪問により法制度、税制度、優遇制度などの詳細なデータの入手ができた。②ニューヨーク市のSt. John's University大学の N.Scordis教授とのインタビューを行った。③St. John's 大学図書館のデータベース利用によるデータを入手ができた。②、③は欧米企業の公開データのサンプルを入手することができた点で有意義なものである。④東京で、ミクロネシア連邦キャプティブ担当者とのインタビューを行った。⑤東京で、マーシュ社, エーオン社とのインタビューを行った。⑤により日本企業の経営スタイル、戦略面での分析、キャプティブ設立の障害などの有意義な実証データが入手できた。⑥日本企業YKK,イオンの社内キャプティブ戦略担当者とのインタビューを行った。⑥によりキャプティブ親会社の経営スタイル、財務内容、戦略などの関連データ、設立理由などのデータを入手できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
企業担当者とのインタビューの日程の設定が考えていたよりもスムーズに行うことができた。設立地開催のキャプティブコンファレンスに参加することで、キャプティブ関係者が一同に会した場所で効率的にインタビューすることが可能となった。また、研究協力者であるScordis教授のアドバイスによりSt. John's 大学の図書館利用とデータベースアクセスの利用で容易にデータの入手ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、目的遂行に必要なデータ収集を完了する。また入手したデータによる仮説検定の実証分析を行い、以下の項目の詳細な分析を行う。①キャプティブ設立の有無、形態と経営項目(動機、戦略、意思決定スタイル、評価基準、担保リスク、株主構成、保険会社との関係)との相関。②キャプティブ設立の財務内容との相互評価。③キャプティブ運営の健全性の精査と経営手法評価。④親会社のキャプティブ戦略と設立地(法制度、税制度、優遇制度)との整合性評価。⑤マクロ的な定量的・定性的評価、日本企業と欧米企業のキャプティブ比較分析。⑥複合ポアソン損害モデルを使った、モンテカルロ・シミュレーションによるキャプティブの正味現在価値評価。そして、これまでのアプローチを総合評価すると共に社会に公表する活動に専念する。具体的には、保険毎日出版社、そして関西学院出版社からの研究成果を書籍として発刊を予定している。具体的には次の3つのアウトプットを発信する。①3つのアプローチの仮説検証結果。②日本企業のキャプティブ戦略の鍵となる経営手法の判定と提言。③キャプティブに関する成功事例と失敗事例のケース作成。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、入手した実証データを基に統計・シミュレーションソフトを購入し計算をする予定であったが、データの整理に時間が掛ったため平成25年度に行う予定である。従って、次年度の研究費は、それら統計・シミュレーション関連ソフト購入を含めた以下の目的で使用する。①データ入手のための日本企業担当者とのインタビューのための国内交通費・宿泊費。②現地監督局とのインタビューのためのミクロネシア連邦訪問の海外渡航費・宿泊費。③データ入手のための購入費用。④統計・シミュレーション関連ソフトの購入費用。⑤学会発表のための交通費・宿泊費。⑥研究分担者との研究会合のための東京への往復交通費。⑦出版社との打ち合わせ費用。⑧関連書籍の購入費用。
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Research Products
(9 results)