2014 Fiscal Year Annual Research Report
金融機関の収益構造は変化したのか?―米系大手金融機関の競争力の源泉を探る―
Project/Area Number |
24530513
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
掛下 達郎 松山大学, 経済学部, 教授 (00264010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
童 適平 獨協大学, 経済学部, 教授 (20412421)
西尾 圭一郎 松山大学, 経済学部, 准教授 (20453368)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 金融機関 / 収益構造 / 競争力 / トレーディング |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の全体構想は,アメリカ大手商業銀行グループのOTD(組成分配型)モデルの形成を,ニューヨーク大手金融機関等へのヒアリング調査を嚆矢とし明らかにすることであった。最終的には,1980年代以降における大手銀行のオフバランスシート取引による業務展開を把握した。 具体的には,1980-1990年代のローン・セール,ディリバティブ,証券化という業務展開とは,貸付債権のリスクを第3者に移転する途であり,このリスク移転が各業務で段階的に開けたこと,である。2001-2013年の収益構造の分析はすでに申請者によっておこなわれており,そこからある程度の推測が可能である。この推測を確実なものとするために,ニューヨーク大手金融機関等へのヒアリング調査をおこない,大手行グループのOTDモデルにおけるトレーディング業務の意義を明らかにした。 1980年代には,大手銀行グループは,まずオリジネートされた事業貸付を,ローン・セールとして初めてディストリビュートするようになった。1980年代後半からは,オリジネートされた資産担保ローンを,アセットバック証券としてディストリビュートした(トレーディング業務)。このとき,ディストリビュートされる金融商品が,初めて証券化されたのである。2000年以降には,同じく住宅モーゲイジ・ローンをモーゲイジ担保証券としてディストリビュートした。OTDモデルがもたらした業務展開は,最終的には証券化を中心とする投資銀行業務であった。OTDモデルは,金融商品を変化発展させながら,存続してきた。アメリカの金融システムは,伝統的に資本市場中心であった。この場合,大手銀行グループにとって,投資銀行の主戦場である資本市場に進出する形で,自らの業務展開を推し進めることが最も有望な経営戦略(最適戦略)であった。これが,アメリカ大手銀行グループの業務展開の特徴を決定づけた要因であると考えている。
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Research Products
(6 results)