2013 Fiscal Year Research-status Report
バリューチェーンにおける価値共創のメカニズムに関する研究
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24530516
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
近藤 公彦 小樽商科大学, 商学研究科, 教授 (10205552)
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Keywords | 価値共創 / 経験価値 / イノベーション / プラットフォーム |
Research Abstract |
本年度は、前年度において検討した小売業・消費者間の価値共創をメーカー、卸売業をも含む垂直的な多段階価値共創にまで拡張し、それを統合的に理解する分析枠組みを構築し、この分析枠組みに基づいて、アンケート調査による実証のため作業仮説を設定し、定量的な分析を行うことを目的としていた。 この目的に沿って、価値共創に関わる文献レビューを通じて理論的検討を深めるとともに、メーカー、小売業、および価値共創のリンケージ的役割を担うサービス、コンサルティング企業にヒアリングを行い、価値共創の実践的・戦略的な企業行動の理解に努めた。こうした理論的・実践的な考察を踏まえて、上記分析枠組みの設定を行い、アンケート調査による実証分析のための作業仮説ならびに具体的なアンケート項目の作成を行った。 一方、平成26年7月、シンガポールにおいて行われる国際学会、2014 Global Marketing Conferenceにおいて発表するために、"A Platform for value cocreation: Theoretical Insight from 'COOKPAD'"と題する論文を執筆し、その要約(アブストラクト)を投稿し、採択された。この論文では、価値共創の先端的な事例であるCOOKPADを題材とし、メーカーと消費者との価値共創の場としてのプラットフォームを理論的に考察し、価値共創によるイノベーションという視点から、そこにおける研究課題を明らかにしようとすることを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の1つの目的であったアンケート調査による実証分析までは達成することができなかったが、分析枠組み、ならびに実証分析のための作業仮説を構築し、調査対象企業の選定とアンケート調査項目の設定は終えており、アンケート調査を実施する段階には達している。 一方、価値共創の理論的検討から得られた知見から、論文"A Platform for value cocreation: Theoretical Insight from 'COOKPAD'"(未公表)を執筆し、国際学会(2014 Global Marketing Conference at Singapore)での発表の機会を得られたことは、研究の着実な進展を示す証左である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、価値共創に関わる分析枠組みと仮説の妥当性を検討するために、研究代表者の所属学会(日本商業学会等)において研究発表を行うとともに、メーカー、卸売企業、および小売企業を対象として、すでに設計されたアンケート調査票を送付し、実証的検討を行う。さらに実証分析の結果を踏まえて、企業へのインタビューを実施し、分析結果の解釈の妥当性を確認する。 以上の価値共創に関わる理論的・実証的考察を数編の論文にまとめ、日本商業学会学会誌『流通研究』、日本マーケティング学会学会誌『季刊マーケティングジャーナル』、適切な国際ジャーナル等に投稿し、発表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、価値共創に関わるメーカー、卸売企業、および小売企業を対象としたアンケート調査を実施することを目的としていたが、分析枠組み、ならびに実証分析のための作業仮説を構築に時間を要したため、実査に着手することができなかった。 次年度は、価値共創に関わるアンケート調査をメーカー、卸売企業、小売企業を対象として行い、バリューチェーンにおける多段快適価値共創のメカニズムとその成果について実証的に考察するとともに、メーカー、卸売企業、および小売企業に対してヒアリング調査を実施し、実証分析から得られた知見の確認作業を実施する。
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