2015 Fiscal Year Annual Research Report
バリューチェーンにおける価値共創のメカニズムに関する研究
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24530516
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
近藤 公彦 小樽商科大学, 商学研究科, 教授 (10205552)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 価値共創 / 流通 / 垂直的関係性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、流通における価値共創を理論的に考察することを目的とするものであった。27年度においては、これまでの研究蓄積を踏まえ、以下の点を明らかにすることができた。 価値共創を流通という文脈で捉える場合、流通における価値共創では、垂直的な関係性が前提となる。この関係性は2つの側面からなる。1つは、価値共創の当事者である売り手と消費者との関係性であり、消費者と価値を共創するためには、より安定的、長期的な関係性が必要となる。そしてもう1つは、チャネル組織間の協調的関係である。ある流通段階の企業が消費者と効果的、すなわち高い顧客満足を提供しうる価値を共創するためには、他の段階の企業と協調しなければならない。 以上の観点から、流通における価値共創を分析する際には、特有の問題意識と課題を設定することが必要である。それらの課題は、次の4点に集約される。 第1は、価値共創の主体となりうる条件を明らかにすること、すなわち、メーカー、卸売企業、小売企業、および消費者のだれがどのような条件のもとで価値共創を主導するのかという点である。第2は、価値共創の客体(対象)、すなわち、どのような製品カテゴリーが消費者との価値共創が行われやすいのかを考察することである。第3の課題は、価値共創の前提となる垂直的協調関係の態様を明らかにすることである。第4に、価値共創の構造とそこでの価値共創者の行動を実証的に解明することである。
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