2015 Fiscal Year Annual Research Report
企業が発信する既存顧客の経験が潜在顧客におよぼす心理効果に関する研究
Project/Area Number |
24530517
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
澁谷 覚 東北大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (00333493)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | クチコミ / 態度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、製品やサービスの使用に関する既存顧客の経験を、同じ製品やサービスの購入を検討する潜在顧客が参照する状況において、既存顧客の経験が当該製品・サービスを提供する企業によって発信されている場合と、既存顧客によって発信されている場合とで、潜在顧客に及ぼす影響がどのように異なるかを調べることを目的としている。基本的な仮説は、「既存顧客によって発信された経験情報の方が、企業によって発信された同じ情報より、潜在顧客に及ぼす影響が大きい」である。 その上でこのような顧客発信による経験情報と企業発信による経験情報との消費者行動への影響力の差異に影響を及ぼす諸要因を探求すること、を主要な目的の1つとして設定している。研究期間の前半ではそのような諸要因として、顧客間の類似性、さらに類似性の態様等を想定してきた。 諸事情で実験続行を中断せざるをえなかった3年目と最終年度にあたる本年度(4年目)では、研究を進めた結果、以下に述べるように、他者の経験を閲覧する消費者と当該他者(発信者)との間の類似性および類似性を巡るいくつかの心理学的要因に加えて、その他のさまざまな要因を実験に組み込むことにより、それらが顧客発信による経験情報と企業発信による経験情報が受け手に及ぼす影響をどのように仲介するかを測定することを最終年度の課題として設定した。その要因の1つが、被験者が他者経験を参照するタイミングが意思決定(または態度形成)の途中であるか、態度形成後であるかという「タイミング要因」を実験に組み込むというアイデアであった。 実験の結果、被験者が他者の経験情報を参照するタイミングが態度形成の途中であっても、態度形成後であっても、顧客発信による経験情報の方が企業発信による経験情報よりも、被験者の態度に有意に強い影響を及ぼすという結果が得られ、仮説通りの結果ではあるが、交互作用効果は見いだされなかった。
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