2014 Fiscal Year Annual Research Report
消費者受容性を高める環境コミュニケーション制度のあり方に関する研究
Project/Area Number |
24530518
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
西尾 チヅル 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (80241769)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 消費者行動 / 環境マーケティング / 環境コミュニケーション / 環境ラベル / エコロジー行動 / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、エコプロダクトの普及・浸透、さらには、消費者の価値観やライフスタイルを地球環境保全型へと変換させることに貢献しうる環境コミュニケーション制度のあり方を、環境ラベルを対象に検討した。具体的には、「課題1.エコプロダクト受容性の背後にある消費者行動の解明」、「課題2.既存の環境ラベリング制度の評価と消費者受容性の観点による課題の抽出」、「課題3.消費者受容性とその継続性を高めるコミュニケーションの要件と展開方法の検討」の3つの研究について行った。本研究では、数ある環境ラベルの内、第三者認証型のISOタイプⅠ環境ラベルである「エコマーク」、政府主導型で制度化されてきた代表的な環境ラベルである「省エネラベル」と「カーボンフットプリント」の3つを取り上げ、その制度の特徴や普及状況を制度事業者やラベル利用者(エコプロダクト提供企業)への調査をすると共に、消費者の受容性等についても消費者調査を実施し分析した。その結果、エコマークの認知度は8割を超え、6割の消費者が重要性も理解していた。一方、家電エコポイントのベースであった省エネラベルの認知度は3割程度、カーボンフットプリントではエコ関与の高い者ですら1割程度の認知度であった。また、環境ラベル商品の受容性はエコロジー関与という個人差や環境保全への有効性評価よりも、家族や友人の推奨という準拠集団の影響や入手しやすさ等の要因によって規定されることも明らかになった。したがって、エコプロダクトを普及・浸透させるためにはプロダクトの環境性を正しく示すだけでなく、プロダクト提供側が環境への取組みを開示する手段として活用したくなるような表彰制度等のインセンティブを付与し、消費者だけでなく、その準拠集団の規範を活用し、個々人が積極的に選択したくなるような仕組みの構築が不可欠であることが明らかになった。
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