2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530529
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
石原 伸志 東海大学, 海洋学部, 教授 (30433907)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 敏則 一橋大学, 商学研究科, 教授 (90156167)
橋本 雅隆 目白大学, 経営学部, 教授 (30218424)
林 克彦 流通経済大学, 流通情報学部, 教授 (20258164)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 通信販売事業 / 日系宅配便業者 / 地元宅配便業者 / 淘宝商城(タオバオ) / ネットワーク・システム / 代金回収システム / B to C / アジア新興国 |
Research Abstract |
中国、ASEAN諸国では、今後通信販売の急速な発展が予想されており、海外の通信販売関連事業(宅配便業者やメーカー等)に進出する日系企業の動きが広まっている。通販事業の成立には、消費市場の成長、情報通信技術の発展、宅配サービス・決済手段の信頼性等、様々な条件が必要となるが、事業参入規制も多い。 そこで、本研究の目的は、中国、ASEAN主要国における日系企業の通信販売・関連サービスへの取組状況と課題を明らかにし、アジア諸国での日系企業の通販事業が発展する動態を明らかにすることにある。 そこで、24年度は、①中国における通信販売業・関連サービスの発展の可能性、②小売販売環境(購買習慣など)、物流環境の影響等について、文献レビューを行う一方で、企業へのインタビューを通して、①通販事業とそれを支える宅配便のネットワークの構築方法、②中国の香港・華南地区を対象にした通販事業と宅配便に関する実態調査を行った。 具体的には、華南地区の佐川急便、香港で宅配便事業を行うヤマト運輸、日本通運、地元の宅配便業者であるSFエクスプレス等への聞取り及び実態調査を行ったが、23年度に上海で行った現地宅配便業者、ヤマト運輸、佐川急便等への調査を行っていたことから、その違いを把握することができた。 また、日系企業が中国の通販市場への出店に際しては、製品の輸入や中国内での販売免許の取得に際して厳しい参入規制があるだけでなく、生活習慣の違いから、アクセスや発注の仕方等に関して問題が残る。さらに、通販やネット販売を行うためには、B to Cの宅配便サービス、代金回収システムの構築が不可欠だが、生活習慣が異なる中国に日本流の販売システムや戦略・戦術を持ち込んでもうまくいかないということが把握できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度の計画は、アジア諸国における通販事業・関連サービスの実態、制度等について、文献レビュー、インタビューを通じて、その発展の可能性と日本企業の果たす役割を検討することであった。 具体的には、社会経済環境、小売販売環境(所得水準、購買習慣など)、物流環境(混雑、道路整備水準など)など、通信販売業の発展に及ぼす諸要因が新興国(特に中国)と日本では大きく異なっていることから、注意深くこれらの要因を分析することであった。 そこで、24年度は、先ず、ヤマト運輸の日本国内の宅急便サービスのネットワーク・システムについて文献レビュー及び同社スタッフと組んで研究を行った。次に、本結果を踏まえて、同社が香港で構築しようとしている宅急便システムの現状と課題、広州で佐川急便が行っている宅配便サービスについて現地調査を行った。 ヤマトは、日本と同レベルの宅急便サービスの提供を香港で行うべく、ドライバー教育やネットワーク網の構築を図ろうとしている。また、佐川は韓国の通販業者を核に宅配便の構築を試みているが、香港からの人力による持込み等もあり、華南地区での宅配事業構築に苦労している実態を把握することができた。 さらに、中国のインテグレーターとして最近急速に伸びているSFエクスプレスを訪問して、日系宅配便業者との違いを調査できたことが今年度の収穫であった。 また、中国の通販市場への日本からの出店に際して、中国での輸入・販売規制、物流、マーケティング、受注システム等の現状について三井倉庫を通じて調査を行ったが、日本からの出店に際しての問題点を把握できたことは、現状分析を行う上で成果であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
25年度は当初の計画通り、アジア諸国での日系企業の通販事業が発展する動態を明らかにする。そのために、24年度に行った中国での現地調査を踏まえて、シンガポール、マレーシア、タイ等を対象にして、現地でのインタビュー調査を行い、下記の①アジア諸国における通販事業の発展、②通販事業発展のメカニズムの解明を検討する予定である。 先ず、①アジア諸国における通販事業の発展に関しては、(i)日系企業の進出についてのB to C、C to Cビジネスでの新たな展開の把握、(ii)国際展開、グローバル化の動きとして類型化や理論化、(iii)中国を含めたアジア新興国における通信販売業の発展の特徴、(iv)伝統的な小売業発展段階論における位置付け、を検討する。 次に、②通信販売業発展メカニズムの解明に関しては、(i)アジア諸国における通信販売業・関連サービスの発展の可能性、(ii)上記市場における日本企業の役割の検討、(iii)多様な社会経済環境、小売販売環境、物流環境の及ぼす影響分析、(iv)通信販売で必要とされる革新の導入過程の分析、(v)日系企業と現地企業の相互作用による通信販売業の発展メカニズム、を検討する予定である。 らに、現地消費者にとって望ましい通販サービス発展のための制度整備、社会インフラの整備や日系企業の果たすべき役割等について検討する所存である。また、通信販売サービス発展のための制度整備、道路・情報通信インフラの整備や日系企業の果たすべき役割等についても提案する所存である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度研究費の直接経費の使用配分計画は、石原伸志675,000円、根本敏則375,000円、橋本雅隆・林克彦各225,000円、合計1,500,000円である。 経費の明細は、消耗品費(図書費、料等購入代、ファイル、プリンター・トナー他)110,000円、国内旅費(*資料・調査収集(清水/東京交通費他)90,000円、外国旅費(シンガポール他航空費・宿泊費・移動費他)900,000円(225,000円x5人)、謝金等(資料整理補助、通訳費他)330,000円、その他(会議費、印刷費他)70,000円を予定している。
|