2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530529
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
石原 伸志 東海大学, 海洋学部, 教授 (30433907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 敏則 一橋大学, 商学研究科, 教授 (90156167)
橋本 雅隆 目白大学, 経営学部, 教授 (30218424)
林 克彦 流通経済大学, 流通情報学部, 教授 (20258164)
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Keywords | 日系量販店 / 日系物流事業者 / 地元物流事業者 / 日系宅配便事業者 / 地場宅配便事業者 / 家電物流 / B to C / アジア新興国 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中国、ASEAN主要国における日系企業の通信販売・関連サービスへの取組状況と課題を明らかにし、アジア諸国での日系企業の通販事業が発展する動態を明らかにすることにある。 そこで、2013年度は、①中国華北地区(北京・天津)における通信販売業・関連サービスの発展の可能性、②小売販売環境(購買習慣など)、物流環境の影響等について、文献レビューを行う一方で、企業へのインタビューを通して、①通販事業とそれを支える宅配便のネットワークの構築方法、②北京・天津地区を対象にした日系量販店と物流事業者、地場の通販事業者等に対するインタビュー調査を行った。また、日本国内では、通販事業者向けに出店・宅配支援等を行っている物流事業者にインタビュー調査を行った。 具体的活動としては、北京に進出している日系量販店イオン、イトーヨーカ堂、北京・天津で物流事業を展開している山九、伊藤忠ロジスティクス、アルプス物流、日本通運、地場の通販事業者である蘇寧電器物流等へのインタビューを通して、華北地区の物流の現状及び実態調査を行ったが、2012年度に香港・深セン地区で行ったヤマト運輸、日本通運等への調査を踏まえて、その違いを把握することができた。 また、国内では、国際通販ビジネスに関する代金決済、マーケティング、市場調査、現地での宅配サービスを支援するベリトランス、上海・深セン地区で自ら宅配サービスを展開しているスコア・ジャパン、上海で通販ビジネスを手掛ける日本の大手紙おむつメーカーの通販ビジネスを支える三井倉庫等へのインタビューを通して、中国における宅配ビジネスの現状と問題点等に関する情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年度は、中国の北京・天津を訪問し、日系量販店(ネットスーパー)やコンビニエンス・ストアが抱える物流に関する現状と問題点に関する調査を行った。また、①華北地区までは日系宅配便事業者も未だ自らのネットワークが構築できていないこと、②中国における通販ビジネスの中心は、上海を中心とする華北地区であること、③遠距離向け宅配はEMS、地場宅配便事業者に頼らざるを得ないこと等が確認できた。さらに、日本からアジア諸国における通販事業・関連サービスの実態、制度等について、文献レビュー、インタビューを通じて、その発展の可能性と日本企業の果たす役割について調査を行った。具体的には、国際通販ビジネスの支援サービス(オンライン決済代行サービス事業、マーケティング、市場調査、EMSを使った宅配他)を提供しているベリトランス、上海・深セン地区で自ら宅配サービスを展開しているスコア・ジャパン、上海で通販ビジネスを手掛ける日本の大手紙おむつメーカーの通販ビジネス・物流を支える三井倉庫等へのインタビューを通して、中国における宅配ビジネスの現状と問題点(料金、宅配日数、代金回収、貨物破損等)について把握できた。 2012年度は中国のインテグレーターであるSFエクスプレス、ヤマト運輸、佐川急便等へのインタビューも終えており、中国主要地域における宅配ビジネスの現状と課題については把握できた。 文献レビュー、インタビュー調査を通じて、中国における通信販売業・関連サービスの発展の可能性と日本企業の役割、日系企業の導入する革新と現地企業の相互作用による新たな事業の創出過程を中心に今後分析する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目である2014年度は、本研究のとりまとめとして、過去2年間で中国他で調査してきたことを学術的な結論として、日系宅配便業者や現地消費者にとって望ましい通信販売サービスを発展するための課題について整理し、日系通販事業者と宅配便事業者・物流事業者の関係について分析し、成果物を発表するためのシンポジウム等の開催及び出版等を行う予定である。 すなわち、本研究を通しての結論として、最近急成長しているアジア新興国の通信販売業と関連サービスを対象に日系企業の中国他への進出とその役割を分析し、日系通販企業向けのビジネスモデルの提案を行う所存である。 中国華南・華中・華北地区に進出している日系宅配便業者であるヤマト運輸、佐川急便、中国で通販ビジネスを展開している日系企業の物流をサポートしている三井倉庫、日系物流事業者である伊藤忠ロジ、山九等へのインタビューを通して当初の計画通り、アジア諸国での日系企業の通販事業が発展する動態を明らかにする。また、通信販売サービス発展のための制度整備、道路・情報通信インフラの整備や日系企業の果たすべき役割等について提案を行う。 予想される結果としては、急成長する新興国での通信販売業における日系事業者と現地事業者との相互作用による発展メカニズムの提示が考えられる。これは、グローバル化する流通・物流分野での新たな発展モデルとして、提案できればと思っている。さらに、事業者にとっての今後のアジア新興国における通信販売業の発展を見通す一助となり、現地消費者にとっても望ましいサービスの発展に資することができればと思っている。 研究結果は、東京等で成果物として発表会の開催、または冊子にして配布することができればと思っている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた出張の日程が調整できなかったため残金が残ったが、次年度に再度調整し出張する予定である。 26年度研究費の直接経費の使用配分計画は、石原伸志400,000円、根本敏則200,000円、橋本雅隆・林克彦各100,000円の計800,000円である。 経費の明細は、消耗品費(図書費、用紙、ファイル、プリンター・トナー他)50,000円、国内旅費(*成果発表準備・資料整理等;清水/東京交通費他)150,000円、外国旅費(航空費・宿泊費・移動費他)400,000円(100,000円x4人)、謝金等(資料整理補助他)100,000円、その他(会議費、印刷費他)100,000円を予定している。
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