Project/Area Number |
24530532
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
若林 敬造 日本大学, 生産工学部, 教授 (90201144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 馨一 北海商科大学, 商学部, 教授 (00091455)
鈴木 邦成 文化ファッション大学院大学, その他の研究科, 准教授 (20440448)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リバースロジスティクス / 環境負荷 / 広域回収 / 拠点整備 |
Research Abstract |
本研究の目的は廃タイヤの資源再生化にむけたリバースロジスティクスについて, 廃タイヤの回収方法や生成した燃料チップの消費地への輸送方法における再生工場, 回収先店舗, 消費間での環境負荷低減を考慮した効率的なリバースロジスティクス・モデルを構築することにある。このため, 我が国の廃タイヤの資源再生化にむけたリバースロジスティクスの基盤整備状況を調査し, 得られた調査データを基に環境負荷低減を考慮したシミュレーションを実施した。なお導出された結論は, 当該分野のリバースロジスティクス基盤体制の確立, 並びに産業集積地の活性化という課題を抱える地方自治体への具体的な展開へともつなげていく一助となるものとする。 研究初年度については廃タイヤなどのリバースロジスティクスの定義, 特徴及びリサイクル法から見た業界別のリバースロジスティクスの現状を明らかにし,その回収システムについて, これまで狭域的に行ってきた既存のシステム及び, そのリサイクル製品の輸配送システムを回収拠点を効率化するという視点から, シミュレーションをとおして数値解析を行い, 拠点整備のあり方について, その効果を明らかにした。さらに拠点集約による効率化に関するモデルの一般化, 回収先店舗, 回収元店舗の回収エリア広域化に伴う拠点整備の有効性の明確化, 利益向上条件の明確化と環境負荷低減の両立, 及び環境負荷の低減考慮したシミュレーションモデルの解析と検証を行い,その成果と環境負荷低減の相関関係を検証し, コストメリット, スケールメリットと環境負荷の低減の両立を可能とする現実的な方策を明らかにした。 なお,研究成果については日本情報ディレクトリ学会,一般社団法人廃棄物資源循環学会による開催のアジア太平洋廃棄物専門家会議(SWAPI)開催,及び一般社団法人情報処理学会において学会発表を行い,その成果を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究目標の達成度については,リバースロジスティクスについての定義, 先行研究についての文献研究を行ったうえで, 以下に示す4つの基本研究項目について進めるとした。概ね,研究目標は達成できたと考えられる。 拠点集約による効率化に関するモデルの一般化について,廃棄物処理事業者が従来の狭域的なネットワークをどのように拡大するべきかをヒヤリング調査, 実地調査を行い, 収集したデータからモデルの一般化を行った。 回収先店舗, 回収元店舗の回収エリア広域化に伴う拠点整備の有効性の明確化については,回収先店舗, 回収元店舗の回収エリア広域化に伴う拠点整備の有効性を確認する指標を検討した。そしてそれにより構築したモデル上でエリア拡大と拠点整備開設に伴う回収効率が向上する条件を明確化することができた。 利益向上条件の明確化と環境負荷低減の両立については,拠点整備に伴う回収活動により増加する利益を把握する指標を検討し, それにより構築したモデル上でエリア拡大により利益が向上する条件を明確化することができた。 環境負荷の低減考慮したシミュレーションモデルの解析と検証については,コストメリット, スケールメリットと環境負荷の低減の両立を可能とする現実的な方策を明らかにし, 論文発表・学会誌掲載をとおして提案した。なお,日本情報ディレクトリ学会, 一般社団法人廃棄物資源循環学会,一般社団法人情報処理学会において研究発表を行った。ただし,環境負荷低減の相関関係については次年度以降もより精緻に研究を進めていく必要があると考えている。これは環境負荷低減の指標として用いるCO2排出量の計算方法がトンキロ法,燃費法など複数存在するため,業界の実態をさらに調査し,現状分析とシミュレーション分析の精度を上げる必要があると考えられるからである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画においては,リバースロジスティクス効率化のためのモデル化を行い,次いで,庭先時間短縮のプロセスの明確化,モーダルシフト導入プロセスの明確化を行い,その成果を踏まえ,環境負荷低減を考慮したシミュレーションモデル解析とモデルの解析と検証を行う。すなわちまず,拠点整備による効率化策に基づく改善案に加え, 回収システムにおける庭先作業時間の短縮とモーダルシフト導入の効果検証を行う。同時にコンピュータシミューションを実施するため, 実態に合わせたシミュレーション規模や条件の決定, 並びに定式化の研究を行う。なお回収システムの庭先作業時間の短縮については関東エリア,またモーダルシフト導入の効果検証についてのシミュレーションは関東エリアから遠隔地への輸送を対象とする。さらに庭先作業時間短縮のプロセスを明確化し, 改善案の提案につなげる。あわせて庭先作業時間短縮のための指標を作成する。庭先作業時間が長時間化する原因について現状を分析し,解決策を検証する。また燃料チップの納入プロセスを明確化し, 庭先時間短縮が可能となる改善策を明示する。 以上を踏まえ,提案した庭先作業の改善策及びモーダルシフトの導入による輸配送システムの効率化と環境負荷低減を考慮したモデルを検証する。実際の回収実態に合わせたシミュレーション規模や条件によって定式化を行い,それを踏まえてシミュレーションを行い, その数値結果を解析し, 改善策の効果を検証する。当該シミュレーションの規模や条件は, 関連統計データに基づき客観的に確定することが望ましいが,これらのデータが入手困難な場合には, 関連の業界関係者,すなわち, 収集運搬事業者, 中間処理事業者, 並びに排出事業者の状況に合わせてヒヤリング調査, 実地調査に加え, 推定値を用いて, 確定することとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
成24年度科学研究費未使用額は205,781円である。研究費が未使用であった理由は以下の通りである。①学内研究費を優先使用して研究のための消耗品などを使用していた割合が多かったこと。②平成25年度に販売予定の機器購入費用の一部に当てるためであった。これらの研究費を次年度に繰り越すことによる研究への支障はありませんでした。 平成25年度の科学研究費の使用計画は、前述の平成24年度科学研究費未使用額に平成25年度支払い請求書金額を合計した金額となり、平成25年度支払い請求書金額の研究分担者への分担は以下の通りである。 ①若林敬造(研究代表者)100,000円②佐藤馨一(研究分担者)300,000円③鈴木邦成(研究分担者)300,000円 なお、研究代表者は学内研究費(210,000円)を併せて使用する。このため、研究代表者、並びに研究分担者の研究費分担割合はほぼ同等になる。
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