2012 Fiscal Year Research-status Report
議題設定による共感の発生と広告コミュニケーション効果
Project/Area Number |
24530534
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
竹内 淑恵 法政大学, 経営学部, 教授 (40366828)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 広告コミュニケーション効果 / ソーシャルメディア / ブランドへの態度 / 企業イメージ |
Research Abstract |
①企業へのヒアリング 味の素ほんだし、クノールカップスープ、資生堂ビューティー・アンド・コー(Beauty & Co.美と健康に関する企業と専門家によるコラボレーションサイト)、マルコメの3メーカー4ブランド、SNSへの取組みが進んでいるローソンにインタビューを実施した。いずれの企業も顧客との深いかかわりや関係性を求め、ファンづくりを目指し、TVCMのみならずソーシャルメディアを有効活用しようとしている姿勢がうかがわれた。 ②消費者調査 食品カテゴリーの実在のブランドを用い、TVCM、ホームページ(以下HP)、Facebook(以下FB)への評価のみならず、企業ブランドイメージに対する評価も得た。事前(記憶による評価)・事後(現物確認による評価)のブランドへの態度を検証した結果、コミュニケーション効果の測定尺度として、従来から使用されている認知度、内容理解度、好意度、購買意図等だけでなく、インターネットあるいはHPへのアクセス意図、ブランドコミュニティへの参加意図、口コミ意図、SNSでの情報発信意図等により、TVCM、HP、FBの効果が測定できることが確認された。また、一般オーディエンスよりファンの方が評価が高いことも明らかになった。 企業が設定した議題に対して、ファンづくりを主たる目的とした(企業ヒアリング調査結果より)FBよりもHPでの評価が有意に高いことが判明した。HPやFBの認知が低い現状において、いかに認知を高め、自社サイトに訪問してもらうのか、あるいはFBの「いいね!」ボタンを押してファンとして登録してもらうのかという問題はあるものの、HPやFBを用いた顧客との深い関係性構築の可能性が見出された。また、TVCMで「伝えたいメッセージ」=議題を広く知らしめ、その上でHPやFBを補完媒体として活用することにより、議題をより深く、強く主張できる可能性があると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記載した通り、企業へのヒアリングを4社5ブランド実施して、現状分析を行うことができた。その結果に基づき、2013年度に計画していた消費者に対する定量調査を前倒しで実施し、一定の成果と知見を得ることができた。しかしながら、2012年度分として当初計画した消費者インタビュー(定性調査)をスキップし、アンケート調査を実施したので、2012年度の定量調査の結果を振り返る意味でも、また、2013年度の定量調査設計を行う上でも消費者インタビューは必要であろうと考えている。 上記の通り、2012年度は申請時の計画とは異なる順番で研究を推進したことになるが、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、企業が消費者から価値があると認められるような広告の議題を設定し、情報提供することにより、消費者の共感が得られ、自ら情報を発信したいという意欲が生まれ、情報の交流意識が高まり、意見交換を楽しむようなコミュニティが形成される、というプロセスを明らかにすることである。そこで2年目の本年度には、以下の2つの方策で推進したい。尚、これらを進めるに際し、設定議題の具体的な内容検討、すなわち、対象企業の選定と提示するテーマ・情報の決定が必要になるため、その選定作業にも多くの時間を費す予定である。 ①消費者のソーシャル・メディアの活用状況と広告に対する意識 昨年度の消費者調査結果により、ファン層とそれ以外の一般オーディエンスではTV広告への反応もFBへの反応も異なることが確認できた。そこで、「コミュニケーションの二段の流れ」仮説を踏まえ、スノーボールサンプリングを用いて、ファンからその友人や知人などの一般オーディエンスへの情報拡散について、インタビュー調査を実施する。ここから得られた結果に基づき、消費者による情報発信、交流、参加への意欲など、コミュニケーションプロセスを解明し、ソーシャルメディア時代のコミュニケーションモデルを構築する。 ②探索される情報とフローとして送り込まれる情報への反応の差異 従来、消費者は興味関心のある情報があれば、自ら更なる情報を求めてインターネットで「探索」したが、近頃では、いったん登録しておけば探索せずともタイムラインによって情報がフローとして文字通り流れるようになった。これはまさにTVCMと同じような状況であり、また、送られた情報を読み飛ばすことができるという点から考えると新聞や雑誌と似ている点がある。そこで、探索して得られる情報とフローとして送り込まれる情報に対する消費者反応、すなわち、態度変容をアンケート調査(定量調査)によって検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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