2013 Fiscal Year Research-status Report
現代における制度共済=協同組合保険のアイデンティティ
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24530536
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
江澤 雅彦 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (80185115)
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Keywords | TPP / 非関税措置の並行協議 / 外国貿易障壁報告書 / 保険と共済の「同質性」 / 保険と共済の「異質性」 |
Research Abstract |
2013年4月12日、環太平洋経済連携協定(以下、TPP)交渉参加に向けた日米の事前協議が決着し、さらに米国通商代表部(USTR)は同4月24日、TPPの交渉に日本が参加することを認める方針を米議会に通知した。 米国との間の「非関税措置の並行協議」 の中で議論されることとなった「保険」に、わが国の共済、とりわけ監督法規ならびに監督官庁が定められている制度共済が含まれるか否かは判然としない。ただ、これまでも『年次改革要望書』や『外国貿易障壁報告書』等において、民間保険会社との公平な競争条件の確保を求めている。 具体的な差異として、①保険会社は、生命保険と損害保険の兼営が禁じられているが、共済には兼営規制がない、②法人税率も保険会社に比べ共済は優遇されている(前者25.5%に対し、後者は単体で19%、連結で20%)、③保険会社は生損保それぞれ保険契約者保護機構に加入し、経営破綻時に契約者を保護するためのコスト負担を義務づけられているのに共済団体にはない。といった点が指摘されている。 4大共済のうちJA共済連は農林水産省、他の3団体は厚生労働省が監督官庁となっているが、米国は、保険と共済の「同質性」を主張し、金融庁が一括してそれらを監督するよう求めている。それに対しかつて政府は、「共済は、一定の地域または職域でつながる者が構成した協同組合の内部において互助的に提供されるものであり、不特定多数の者を対象に全国域で行われている保険とは異なる。したがって、民間保険と同様の規制、監督および負担はなじまない」等と説明してきた。また、監督法規である農協法や生協法が改正され、保険業法とほぼ同等の規制レベルに到達したとの評価もなされている。問題は、こうした説明を米国に対し、各論レベルでの説得力をもたせつつ米国に主張できるかにかかっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
別掲の通り、文字ベースの研究業績を挙げており、各種研究会での情報収集も順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は研究期間の最終年度に当たるため、研究会等での総括プレゼンテーションの実施、最終報告論文の取りまとめを行いたい。
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