2013 Fiscal Year Research-status Report
消費者視点のカテゴリー・マネジメント:品揃え形成の視点から
Project/Area Number |
24530544
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Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
高橋 広行 流通科学大学, 商学部, 准教授 (00580325)
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Keywords | カテゴリー・マネジメント / 消費者視点 |
Research Abstract |
本研究は,小売業における基本的活動である「品揃え形成」と最適な売場レイアウトを含めたカテゴリー・マネジメントのあり方を消費者の視点で 明らかにしようとするものである。 上記の目的を受けて平成25年度は,主に3つの視点で理解を深めてきた。第一の視点は,品揃えという変数がリテールブランドエクイティにおいてどの程度,重要なのかという点である。食品スーパーのリテールブランドエクイティを校正する要素として,品揃えの要因は,比較的影響するものの,サービスや店舗施設の方がリテールブランドエクイティには強く関連する。そのため,単一の売り場や単なる品揃えについてカテゴリーを強化してもあまり効果がないことがわかってきた。そこで,第二の視点として用いたのは,消費者の行動パターンの認知構造体である「スクリプト」の概念を用いて,食品スーパー,および,コンビニエンスストアの店舗内行動をネットワーク分析を通じて明らかにした点である。その行動パターンを通じて,それぞれの売り場に立ち寄る流れを理解してきた。この売り場への立寄りパターンをロイヤル層と非ロイヤル層(あるいは来店頻度の高い層とそれ以外の層)で比較すれば,さらにカテゴリー・マネジメントの理解を深めることが可能であることがわかってきた。第三の視点として,倫理的消費商品などの商品や珍味などの新しい売り場を作る契機になるカテゴリーについて理解を深めてきたことである。 これらの視点を通じて,売場全体として最適なカテゴリー・マネジメントと品揃えのあり方の理解を深めてきた段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際のアンケートデータ分析により行動パターンの中での売り場の位置づけ,および,品揃えの重要さについて検証し,理解を深めてきていることから,おおむね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
大きく2つの計画を検討している。第一は,行動パターンとの関連について理解を深める。具体的には,ロイヤル層と非ロイヤル層(あるいは来店頻度の高い層とそれ以外の層)で立ち寄る売り場の違いを理解する。その際は,各カテゴリーの位置づけとの関連や,滞在時間,単価なども測定する。過去のアンケートデータを少し分析しながら,本調査の設計と実施を行いたいと考える。第二は,珍味売り場を持つ企業とコラボしてデータを預かり分析することで,売り場位置と業績・品揃えの関係を明らかにする(これが可能となれば実験室実験は不要となる)。この2つの視点を通じて,店舗全体を通じた売り場の構成(カテゴリーマネジメント)とその中での棚づくりの最適化を検討していく予定にある(現在,交渉中)。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上述した2つの計画で使用する予定である。第一の過去のデータ分析とアンケート調査の実施とネットワーク分析(外注)に使用する。第二の企業とコラボしてデータを預かり分析する場合は,そのデータ整理にアルバイト人件費を多く使うことになる。あるいは複雑な処理の場合,加工を外注する場合も考えている。 アンケート調査費用として70万円程度,データ分析費用で40万円程度,データ加工人件費で20万円程度を想定している。その他学会発表や研究のための出張旅費などで20万円程度を予定している。
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