2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530546
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
磯野 誠 鳥取環境大学, 経営学部, 准教授 (50550050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八重樫 文 立命館大学, 経営学部, 准教授 (40318647)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 新製品アイデア開発 / アナロジー / 視覚化 / 創造性 |
Research Abstract |
本研究は、新製品アイデア開発における(1)アナロジーの活用、および(2)視覚化の活用が、より創造的なアイデアの創出に結びつき得ることを、実験室実験およびサーベイ調査により実証的に示すことを目的としている。平成24年度ではその実施計画通り、関連文献レビュー、仮説構築、各概念の操作化を行った後、実験室実験を実施しその仮説を検証し考察を導いた。 ここまでの研究から言えることは次である。実験室実験の限り、新製品アイデア開発において、アナロジー、視覚化、顧客調査活用は、それぞれ、アイデアの創造性実現に効果がある。特にアナロジーの活用と視覚化の活用はそれぞれ独立して効果がある。 この意義・重要性については、次である。Dahl & Moreau (2002)等の先行研究において、アナロジーの効果は示されつつも、その調査には視覚化が含まれていることが指摘でき、実質的にそのアナロジーの効果と視覚化の効果の区別がなされていなかった。さらに視覚化自体の効果は、Kelley (2001)等により実務経験をもとに主張されるも実証はされていなかった。今回の調査結果からの知見は、これまで必ずしも明確に区別されてはこなかったアナロジーの活用と視覚化活用は、区別されるべきものであることを示す。また、視覚化活用はそれ単独で効果があることを実証的に示す。 またこの知見を拡張すべく、視覚化活用がどのようなときにより効果的であるのかを明らかにすることが、次の研究課題として導かれる。 ここまでの研究知見は、5月26日の平成25年度商業学会全国大会にて報告する予定にしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は文献レビューから実験室実験の実施までとしていたが、予定通り実験室実験の実施まで達成できた。また、その知見をまとめ、5月26日の平成25年度商業学会全国大会にて報告する予定にしている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究2年目にあたる平成25年度は、当初、前年度に実施された実験室実験からの知見を受けて、その知見の開発現場への応用可能性を検討するために、同様の仮説をもってサーベイ調査を実施することを計画していた。 しかし今回の実験室実験からの知見から、アナロジー活用と視覚化活用の区別はできたものの、では視覚化活用はどのようなときにより効果的であるのかの調査課題が浮上した。この調査課題はすなわち視覚化活用概念の構成次元を特定することであり、視覚化活用の可能性を明らかにするのに極めて重要なステップである。従い、平成25年度は実験室実験の知見のサーベイ調査による開発現場への応用可能性検討よりも、視覚化活用のアイデア創造性実現に対する効果の可能性検討を優先し、あらためてそのための実験室実験を計画することとする。 具体的には、Finke et al (1992)の創造的認知理論等に基づき、新製品アイデア開発のための視覚化活用概念の構成次元、新製品アイデア開発における視覚化活用の可能性に関する仮説を導出し、プリテスト(定性インタビュー)、実験室実験を計画、実施(基本的に前年度の実験室実験と同様の条件)、その仮説の妥当性を検討する。その実験室実験は、前年度にならい、学生150名程度を対象とすることを検討する。 実験室実験自体は、平成24年度にその実施経験の蓄積ができたことから、平成25年度に行うことも特に研究遂行を妨げるような問題が発生することは想定されない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費は、上記の計画に従い、昨年度と同様、仮説構築のための先行研究レビューおよび実験室実験の計画、実施、それに伴う研究代表者と分担者間打ち合わせのために使うことを予定する。 平成25年度の研究費は当初のサーベイ調査実施のために提案されていたものだが、上記の実験室実験への調査方法の変更に伴い、その使用は、同様に実験室実験を実施した前年度の使用実績に近くなることを予測する。 また、平成26年度は、当初の計画通り、平成24年度、平成25年度の研究知見をもって、国際学会での報告、論文投稿を予定しており、そのための研究費使用を予定している。
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