2013 Fiscal Year Research-status Report
リスク及び危機対応態勢の連係的整備のための手法構築に向けた実証的研究
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24530547
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
蟹江 章 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (40214449)
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Keywords | リスク・マネジメント / 危機管理 / 内部統制 / リスク情報 |
Research Abstract |
今年度は,昨年度実施した文献調査に基づくリスク,危機等の重要概念の整理を行った。また,来年度以降本格的に着手する予定の実地調査の準備として,これら概念の精緻化と操作性の向上を図ってきた。昨年度は,主として会計不正リスクを取り上げて検討したが,今年度は,災害時等に事業の継続を阻害するリスクや想定外といわれる事態を招くリスクなどに検討の範囲を拡張した。このため,リスクの発現形態としての危機についても,企業等の組織の経営(運営)業務全般に渡る検討に着手することになった。 リスク対応の主たる手段としての内部統制について,デファクトスタンダードたるCOSOフレームワークが改訂されたため,その内容を分析するとともに,リスク・マネジメントに係る既存概念等への影響を検討した。根本的な思想に変更がないこと,ならびに内部統制とリスク・マネジメントの一層の連携が図られていることを確認した。これを受けて,本研究でも来年度以降,COSOフレームワークを十分に考慮してリスクと危機への統合的な対応策を構築して行くことになる。 今年度は,来年度に実施する実地調査の準備として,企業情報におけるリスク情報の収集に着手した。有価証券報告書において開示されているリスク情報やBCP(事業継続計画)・BCM(事業継続マネジメント)などの危機対応情報を収集し,業界・業種別の整理を進めている。整理したデータは,業界・業種ごとの違いや特徴等を明らかにするための材料とするとともに,来年度実施予定の実地調査対象企業等を選定する際の資料としても活用する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概念の整理や精緻化作業はおおむね順調に進んでいる。一方,過去30年間程度にわたるリスク・マネジメントやBCP・BCMに関わる情報収集を進めているが,これら情報が膨大な量となるため収集作業に時間がかかっている状況である。このため,業界・業種毎の違いや特徴の分析ならびに実地調査の開始に若干の遅れが生じる恐れがある。しかし,収集・整理ができたところから順次分析・調査を開始することによって,遅れを取り戻すことが可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,まず,企業等のリスク・危機対応情報の収集と整理を進め,これに基づいて業界・業種毎の違いや特徴,さらには時代や社会背景に基づく意識の変化などを分析する。また,個別企業に対する実地調査を通じて企業等の現場におけるリスク・危機対応の現状や意識についての聞き取りを行い,効果的なリスク・危機対応システムの構築に向けた方向性や課題を明らかにする計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
収集情報に基づいて,今年度中にパイロットテスト的な実地調査を実施したいと考えていたが,情報収集が若干遅れていることから実施を繰り延べざるを得なかった。このため,おおむね1回分の出張経費に該当する残額が生じたものである。 来年度実施する実地調査のための経費として使用する予定である。
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