2014 Fiscal Year Research-status Report
リスク及び危機対応態勢の連係的整備のための手法構築に向けた実証的研究
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24530547
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
蟹江 章 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (40214449)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リスク・マネジメント / 危機管理 / 内部監査 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,昨年度までに実施した研究の結果を踏まえて,特にフランスにおけるリスク及び危機管理についての実態分析を行った。フランスにおけるリスク情報,リスク及び危機管理に関する開示情報を収集し,わが国におけるリスク及び危機管理ならびに情報開示の実態との比較研究を行った。情報開示については,両国間に決定的な違いは見られないが,フランスにおける情報開示が会社法の枠組みにしたがって実施されていることに伴う特徴も見られるため,今後さらに詳しく比較分析することを通じて,リスク・危機管理の基礎としてのリスク情報に対する考え方や対応について解明を試みる予定である。 また,今年度は,リスク・マネジメントや危機管理に関して,組織のトップによる意思決定や行動を支援する内部監査の基本的な機能についても整理した。内部監査は,システムとしてのリスク・危機管理の整備状況をモニターすることにとどまらず,システムが所期の見込み通りに運営され,有効に機能しているかどうかという,リスク及び危機管理のプロセスの検証という役割を担っている。内部監査の実践的な基準などには,こうした基本的な機能について明確に示されているが,数人の内部監査人に聞き取りをしたところによれば,実態として,プロセスの監査にまで至っていないケースが大半であることが分かってきた。今後は,さらに聞き取り件数を増やすことによって,実態のより的確な把握に努める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
企業の膨大な開示情報の中からリスク・マネジメントや危機管理に関する適切な情報を選別する作業にやや時間を要している。また,実態についての聞き取りに際して,先方の事情を考慮する必要があることから,実地調査の進展が予定よりやや遅れ気味になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,収集したリスク・マネジメントならびに危機管理に関連する情報の分析・検討と,それらを考慮に入れながら,内部監査部門の関わり方をも含めて,リスク及び危機への対応の実態に関する聞き取り調査件数を増やし,これらの結果に基づいて最終的な研究成果にまとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
リスク・マネジメント及びリスク管理についての実態調査を実施する予定であったが,聞き取り先の都合により実施できなかった出張旅費相当分の残額が生じたものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新年度入り後,できるだけ早期に先方との日程調整を行った上で,実態について聞き取り調査を行い,研究の進展を図る予定である。
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