2013 Fiscal Year Research-status Report
海外事業戦略におけるグローバルな事業評価システムの実証研究
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24530552
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
溝口 周二 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 教授 (30200033)
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Keywords | 業績評価指標 / 事業戦略 / 海外子会社 / 地域統括会社 / マネジメント・コントロール・システム / 情報化投資 / 情報システム / グローバル企業 |
Research Abstract |
これまでの調査結果を整理した上で、事業評価システムおよび情報システムの構築戦略、運用の効果、情報投資の決定プロセスなどに関する質問票を作成し、インタビュー調査を行った。当年度の調査対象は本社及び現業レベルである。重点としたのは後者の海外製造子会社2拠点であり、具体的にはタイ国における自動車部品工場、素材工場、販売会社である。 調査手法は現地に赴き、現場を視察し、関係幹部または担当者とのインタビューである。海外製造子会社2拠点は同一の国に所在するが、担当事業が異なるため、日本国内における統括部門も異なっている。また、そのことが取扱製品、生産体制、顧客、取引形態などの企業環境の相違をもたらしている。 これらの拠点においては、主として予算・実績対比に基づく事業評価が実施されている。具体的な指標として売上高、利益、利益率などの伝統的な会計数値が用いられる。それに加えて、各拠点で定めた指標に基づく評価が実施されていることから、自律的な企業行動を促す仕組みが内包されているともいえる。また、日本の本社経営企画部門及び事業部門からの2つの指示系統があるが、内部統制に代表される諸規制の影響により、本社による一元的なマネジメント・コントロール・システムを志向する傾向があることも観察された。 しかし、本社における各事業部ごとの製造子会社および販売子会社が同一国内、または東南アジア地域に点在すると、製品、部品の移動に伴う振替税制の問題、人事異動の問題などから地域統括会社の必然性が浮上し、これによる業績評価問題が事業戦略の重要な課題であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のグローバル企業におけるタイ国の製造子会社2社を訪問し、24年度までに訪問したインドネシア、中国などの現地海外製造会社との業績評価指標の比較検討を実施して、26年度の考察に向けてのデータ、情報を整備した。 また、これらの情報をベースに従来からの共同研究を実施しているフランスのポー大学、ツールーズ大学、ボルドー経営大学院の教員とともに、東南アジア地域における地域統括会社の業績評価、マネジメント・コントロール・システムなどの比較研究を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は科研の最終年度に当たり、これまでのインタビューを東南アジアまたはオーストラリアのグローバル企業の現地製造会社数社と実施し、日本のグローバル企業における事業評価システムに関する検討を行う。 これとあわせて、フランス側の研究との比較検討を行い、日仏のグローバル企業における事業戦略の相違とそれを裏付ける評価指標の比較検討を行う。 上記の2点について、報告書の作成と学会発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
タイ国における実施調査を当該会社の事情により24年度末ぎりぎりで行ったために、25年度予算計上していた分が予算よりも低かった。 今年度はフランスの大学との意見交換、研究比較などの旅費と東南アジアまたはオーストラリアの現地製造子会社でのインタビューを計画している。 またこれまでの研究チーム5人での研究会の開催頻度を上げ、国内旅費と報告書作成に予算を充てる計画である。
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Research Products
(2 results)