2014 Fiscal Year Research-status Report
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24530554
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
竹島 貞治 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (50312533)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 概念フレームワーク / 事象 / キャッシュフロー / サイクル / 財務諸表 / 財務報告 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、現金サイクル、投資サイクル、財務サイクル、および稼得サイクルの4つのサイクル概念に分配サイクルの概念を加え、合計5つのサイクル概念を用いて財務諸表の情報内容を分析した。その結果、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書・株主資本等変動計算書の財務4表は、いずれもフローを表す財務表としてみなされる、という点を指摘するとともに、貸借対照表は「財政状態を表す表」としてではなく、むしろ「現金サイクル・投資サイクル・財務サイクル・分配サイクルの4つの事象間の関係性がまだ完結していない事象を集めた表」として解釈される、という新たな見解を示した。 また、貸借対照表を4つの種類の未完結サイクル事象とみなす考え方は、損益計算書、キャッシュフロー計算書、および株主資本等変動計算書のようなフロー計算書に対して合理性を付与するとともに、投資サイクル事象と債権者・供給業者に係る財務サイクル事象について事象を直接的に伝達しうる新たな財務表への理論的基礎になると考えられる、という点を示した。 さらに、事象サイクルの構成要素として4種類のタイプの会計事象を識別することにより、貸借対照表を未完結サイクル事象の表として考えた場合、時価などの有用ではあるが事象サイクルを直接的に構成していないデータについては、貸借対照表とは別個の場所で提供される必要がある、という見解を示した。 上記の研究成果については、国際会計教育研究学会、アメリカ会計学会、および日本会計研究学会で報告を行うとともに、雑誌『会計』第186巻第4号および雑誌『会計』187巻第1号において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、Takeshima and Sorter[2009]で示した事象サイクル概念を用いて財務報告モデルを構築するため、5つの課題を設定した。現在までに、当初予定していたTakeshima and Sorter[2009]モデルとアメリカおよびドイツのサイクルモデルとの比較検討を行い、2つ目までの課題を達成している。 また、4つ目と5つ目の課題に関する事象サイクルモデルによる財務諸表についてはそのプロトタイプを作成し、事象サイクルの概念と伝統的財務諸表の情報内容との関係づけを行っている。よって本研究はおおむね順調に進展しているといいうる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画としては、Professor George Sorterとの共同研究を継続することによって事象サイクル理論に関する研究を発展し、それらの研究成果を国際学会で発表するとともに、Sorter教授との共同論文を国際誌へ投稿していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は249円であり、これは何らかの研究上の意図があって繰り越した額ではなく、当初の計画通り予算を執行した結果生じた端数残高である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに提出済みの研究費目明細書中の消耗品費に加算して使用する予定である。
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