2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24530556
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岡崎 英一 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (80233310)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 減損 / 裁量的な行動 / 利益平準化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,昨年度まで作成したデータベースを最新データに更新するとともに,対象の企業の拡大,これまでの研究により分析に必要になると考えられた「企業の体力」を示す指標への拡大を図った。その上で,次の二つの研究成果を公表することができた。 まず,利益平準化の観点から継続的な減損計上の問題を検討し,減損計上の回数が多いほど利益平準化を志向していることを示す結果を得た。また回帰分析の結果、利益平準化目的企業は,減損損失の計上にあたり,一定期間を集計した場合(長期的な場合)には,営業損益および営業外収益・特別利益の額を考慮して減損損失の計上を行っていると考えられる結果を得た。いずれも長期的な観点から減損計上について裁量的な行動をしている可能性があることを示唆するものと考えている。この研究については,平成26年度において公表済みである。 また,経営者の裁量的な行動による利益平準化は経営者の私的情報を提供するという仮説について,我が国の固定資産の減損処理においてそのような証拠が得られるかということをモデル式に基づき回帰分析を行って検討した。その結果,減損損失の計上額が次年度の経常損益等の予測に役立つことを示唆していると考えられる結果は得られなかった。このことから減損損失額には,必ずしも経営者の私的情報を提供しているとは言えないとを示唆することとなった。これについても平成26年度において公表済みである。 しかし今回の研究により,継続的な減損計上には,経営者の裁量的な行動を間接的に示唆する結果を得ることができたが,グルーピングの操作そのものについての裁量的な行動を示す証拠は得られなかった。また研究の進行により,企業の「基礎体力」と減損との関係についても検討する必要も生じてきた。これらについては,さらなる検討を進める予定である。
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Research Products
(2 results)