2013 Fiscal Year Research-status Report
主要顧客情報に基づいた関係性構築プロセスに関する理論的・実証的研究
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24530570
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
高橋 邦丸 青山学院大学, 経営学部, 教授 (10276016)
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Keywords | 顧客関係性戦略 / コスト構造 / コスト凝集性 / 収益性分析 |
Research Abstract |
本研究では、主要顧客や取引先企業との関係性構築に関連する経営資源の保有が企業業績や企業価値にどのような影響を及ぼすかについてインタビュー調査および実証分析を行った。まず海外のホテル数社のマネージャーに対して、顧客獲得や顧客維持関係行動について各社の実態を調査するとともに、このような行動が企業業績やコストの発生にどのような影響を及ぼすかについてインタビューを行った。また企業が保有する経営資源はそれぞれが単独で企業業績に影響を及ぼすのではなく、企業が選択する戦略に基づいて複数の経営資源が組み合わされて利用されることによって影響するものであり、外部環境における脅威や機会に適応することが可能である場合に経済的価値をもたらすという考えのもとに分析を行った。分析の結果、コストなどの効率化を重視する企業と比較して、特有の経営資源を保有するの企業のほうが、総資産営業利益率(ROA)とトービンQの平均値および中央値がいずれも高いという結果が得られた。これに対して、売上高営業利益率に関しては、コストなどの効率化を重視する企業のほうが平均値および中央値がいずれも高いという結果となった。また、特有の経営資源を保有する企業の利益持続性のほうが、効率化戦略を選択した企業よりも大きく、かつTobin’ QやPBRといった企業価値を表す指標も大きいという統計的に有意な結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は顧客獲得や顧客関係性構築が企業業績や企業価値に及ぼす影響について、インタビュー調査によって現状を把握するとともに、それらが財務データを用いた実証の結果と一致するかについて検証可能か否かが課題であった。これに対して海外の複数のホテルのマネージャーとのインタビュー調査によって、とりわけ主要顧客との関係性構築に関する現状を理解することができ、財務データだけでは必ずしも明らかにすることが難しい知見を得ることができるとともに、来年度以降の研究への課題も得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は課題の最終年度であるため、過去2年間の研究成果をまとめるとともにこれまで十分に研究できなかった課題について取り組む予定である。とりわけ顧客関係性構築への探索段階、進展段階および発展段階といったプロセスにおける経営資源配分行動やそれぞれの段階におけるコスト構造や企業業績との関係について取り組んでいきたい。
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Research Products
(4 results)