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2012 Fiscal Year Research-status Report

認識主体別監査品質モデルの提示と分析

Research Project

Project/Area Number 24530590
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionKonan University

Principal Investigator

伊藤 公一  甲南大学, 経営学部, 准教授 (30403306)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords監査品質
Research Abstract

IAASBが公表している監査品質に係るフレームワークの内容を検討した。その結果、監査品質のとらえ方がステークホルダーごとに異なっていることが明らかになった。すなわち、IAASBの調査結果から、(1)経営者は①業務効率性、②業務担当チームのコミュニケーションの品質・適時性・有用性、③業務担当チームの能力と継続性を重視し、(2)統治責任者は、①監査の頑健性、②コミュニケーションの品質・適時性・有用性、③経営者からの独立性を重視し、(3)機関投資家等のステークホルダーは、①監査事務所の評判と専門的知識、②独立性の知覚、③監査を取り巻く規制枠組みの強さを重視する、ということが明らかになっている。
このようにステークホルダーごとに重視する監査品質の属性は相違している。それぞれのステークホルダーが自己利益の最大化を目的として行動する場合に、実質的に監査に責任を持つ監査人の行動が監査品質に最も大きな影響を与えると考えられるが、監査人が達成すべき品質の内容は要素に分割して詳述されているものの、監査に監査人自身が要求する品質の内容についてはIAASBの報告書では調査されていない。監査人の動機が品質に大きく影響するとすれば、監査人自身の動機についても考慮する必要があると考えられる。
すなわち、監査品質を考えるに当たり、監査人、統治責任者、経営者、投資者の4者の自己利益が最大化される条件を求めることが必要なのではないかと考えられた。この知見を次年度以降の研究においてさらに進展させ、当初の研究目的である監査品質の改善に資するモデルの提示を行いたいと考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

IAASBによる調査結果においては、ステークホルダーごとに監査品質のとらえ方が異なること、および、監査人自身にとっての監査の好ましい性質が考慮されていないことが明らかになった。
これによって、次年度以降、ステークホルダーごとに相違する監査品質のとらえ方を制度的にどのように統合して全体最適を達成することが可能であるのかについて検討するための基礎が得られたと考えている。
したがって、おおむね順調に進展していると評価した。

Strategy for Future Research Activity

平成24年度に明らかになったステークホルダーごとの監査品質のとらえ方に関する知見に基づいて、今後は、監査に係るステークホルダー全体にとって最も好ましい状態が、各ステークホルダーごとの重視する品質の最大化によって達成可能であるかどうか、達成可能でないとすれば、どのような制度的擬制によってそれが可能になるかについて検討する。
この検討を通じて、実質的に監査の品質に責任を持つ監査人の不正を見逃そうとする行動と、不正を企図する経営者の動機をどのような監査制度によって抑制し、経営者および監査人の倫理的態度を擬制することが可能であるかについて明らかにしたい。
また、そもそも制度によって、自己利益最大化を目指して不正を企図する経営者の行動を規制することが可能であるのかどうかについても、より広い観点から検討してみたい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度は、平成24年度に執行を予定していたが、製品のバージョン更新のタイミングの都合により、やむを得ず執行を平成25年度に繰り越したノートパソコンの購入、および、電子辞書の購入を計画している。
また、行動ゲーム理論、行動経済学、制度論等に関する知見を得るために、これらに関連する書籍を購入する。
さらに、研究内容について指導助言を得るために、東京への出張等を含めた研究会への参加を予定している。

Research Products

(2 results)

All 2012 Other

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 監査品質の構成要素と統治責任者の役割2012

    • Author(s)
      伊藤公一
    • Journal Title

      甲南経営研究

      Volume: 第53巻 第3号 Pages: 97-119

  • [Presentation] 監査品質モデルの検討

    • Author(s)
      伊藤公一
    • Organizer
      日本監査研究学会第35回全国大会
    • Place of Presentation
      関西大学

URL: 

Published: 2014-07-24  

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