2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530593
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 福島学院大学短期大学部 |
Principal Investigator |
中島 真澄 福島学院大学短期大学部, 情報ビジネス科, 教授 (90249219)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 利益の質 / 会計発生高の質 / 会計的裁量行動 / 実体的裁量行動 / 内部統制 / コーポレート・ガバナンス / 実証分析 / 裁量的発生高 |
Research Abstract |
本研究の目的は,内部統制報告目的である財務報告の質の改善が内部統制報告制度導入によって達成されたかどうかを解明することであった。その目的を達成するために、実証として、内部統制に不備がある企業に焦点を合わせて、内部統制の不備と当該企業の財務報告の質に影響を及ぼす企業属性および裁量との関連性を解明する。 第2の目的として、故須田一幸教授による「内部統制・ガバナンスおよび監査に関するサーベイ調査」の第3回として経営者の意識調査を行い、経営者の内部統制にたいする意識変化と企業属性との関連性を解明する。 第1の目的を達成するため、初年度は、重要な欠陥開示企業(MW企業)とペアサンプルを用いて裁量行動が情報伝達目的か機会主義目的かを判別する中島モデルの汎用可能性について検証を行った。その結果は次のとおりである。J-SOX法施行以降,統制企業は会計発生高の質,予測精度ともに改善された。MW企業は,J-SOX法施行以降も会計的裁量行動が観察されたが,統制企業は実体的裁量行動が観察されなくなった。MW企業の会計的裁量行動は,会計発生高の質が会計発生高と有意な関連性を有しているため,機会主義的意図を有する可能性が高く,一方,統制企業の会計的裁量行動は,会計発生高の質が会計発生高と有意な関連性を有していないため,情報伝達的意図を有するものに変更した可能性が高い。この成果論文は、Seventh Asian Pacific Interdisciplinary research in Accounting Conference 2013 および2013年度米国会計研究学会年次大会の口頭セッションに受理されたので報告する予定である。第2の目的については、内部統制・ガバナンスにたいする意識調査の質問票を作成し、日米両国に発送を行った。さらに回答のインプット作業および統計分析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、主に、本研究の目的を達成するための実証研究およびサーベイ調査に関して、各作業を同時並行的にすすめる計画となっていた。わが国上場企業の直近財務データ入手しデータ・ベースを作成するとともに、内部統制報告書において「開示すべき重要な不備」「不備」開示した企業を抽出し、「開示すべき重要な不備」「不備」の内容を調査するとともに、当該サンプル企業の財務情報に関するデータ・ベースを作成した。 第1回および第2回の経営者にたいする内部統制・ガバナンスにたいする意識調査に関する質問票を吟味し、第3回調査に関する質問票を作成した。そして、発送時期を考慮したうえで、発送を行う。米国上場企業経営者にたいする質問票については回収率向上およびコスト節約のためのSurveyMonkeyでアンケートを作成しEmailで送付した。米国経営者の回答は少なかったが、日本の経営者は223社が回答してくれた。そして回答のインプット作業に着手した。 初年度の目的は、実証研究とサーベイ調査の実施の2つがあった。実証分析としては、中島モデルの汎用可能性を重要な欠陥開示企業およびペアサンプルに適用して比較分析を行い、その成果は日本のレフェリー学会誌で発信できたし、米国で口頭報告も受理され、報告予定である。また、サーベイ調査は、米国は想定内であったが回答率が低かったが日本の上場企業からは223の回答を得て統計分析可能である。以上から、実証とサーベイ調査の2つともおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、初年度におけるアーカバイル分析とサーベイ調査とを統合させ、論文として完成させる。まず、アンケート回答企業について企業別に会計発生高の質、キャッシュ・フロー予測精度、裁量的発生高、会計的裁量行動、実体的裁量行動を算出する。内部統制に対する経営者の姿勢に関するアンケート結果と企業の属性ファクターおよび裁量ファクター、また、監査報酬や社外取締役比率などとの関連性を検証し、アーカバイル分析を統合させた研究を行う。本研究を通して、日本独自のコーポレートガバナンスを強調する変数を明らかにすることも目的の1つとある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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