2013 Fiscal Year Research-status Report
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24530593
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Research Institution | 福島学院大学短期大学部 |
Principal Investigator |
中島 真澄 福島学院大学短期大学部, 情報ビジネス科, 教授 (90249219)
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Keywords | 利益の質 / 会計発生高の質 / 会計的裁量行動 / 実体的裁量行動 / 内部統制 / コーポレート・ガバナンス / 実証分析 / 裁量的発生高 |
Research Abstract |
本研究の目的は,財務報告の質の改善が内部統制報告制度導入によって達成されたかを解明することであった。その目的のため、内部統制の不備と財務報告の質に影響を及ぼす裁量行動との関連性を検証し「内部統制・ガバナンスおよび監査に関するサーベイ調査」で経営者の意識をたずね、経営者の内部統制にたいする意識変化と財務報告の質との関連性を分析した。2013年度は、上記調査の回答を解析した。また、初年度の実証分析論文が、Seventh Asian Pacific Interdisciplinary Research in Accounting、米国会計研究学会年次大会で受理され報告した。さらに、「上層部の気風(tone at the top, TATT)の決定要因」で、TATTはキャッシュ・フロー予測精度との関連性があること、内部統制のうち事業の有効性、事業の効率性、法令順守の強化とは有意な正の関連性があること、年齢および報酬が高いほど、持合比率が高いほど上層部の気風が前向きになることを明らかにした。「内部統制システムと会計情報システムに関する分析」では企業は自社の内部統制を積極的に自己評価していること、J-SOXへの対応も評価していることなどが明らかとなった。当該調査に基づいてEnterprise Resource Planningが、内部統制を容易にするかどうかを分析し、ERPは内部統制の評価や監査の質に正の影響を与えていることが明らかにした。「TATTの決定要因」は、台湾会計学会で報告する日本代表として台湾会計学会で報告し、Asia-Pacific Management Accounting Associationでも報告した。「内部統制システムと会計情報システムに関する分析」は、日本会計研究学会自由論題、「システム統合と内部統制・監査の関係」は同学会特別委員会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年度の目的は、内部統制の実証分析の報告、サーベイ調査結果の統計解析、サーベイ調査結果とアーカイバル分析の統合研究の3つがあった。実証分析報告は、米国で口頭報告も受理され、報告した。また、サーベイ調査は223の回答を得て統計解析を行った。このサーベイ調査結果とアーカイバル統合の研究が完成し、TATT論文は、台湾会計学会とThe 9th Asia-Pacific Management Accounting Association Annual Conference(2013AMPAA)で報告し、「内部統制システムと会計情報システムに関する分析:サーベイ調査の結果」論文は、第72回日本会計研究学会で自由論題で報告し、「システム統合と内部統制・監査の関係」論文は同学会特別委員会で報告した。3つの計画とも順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、本研究の第6として 内部統制報告制度導入による裁量行動の変化が企業価値にどのような影響を与えたかについても検証することを計画している。人的支援により実証分析をすすめていきたい。また、世界への発信として作業としては、「利益の質と内部統制」についての英語論文が経営分析事典編集委員会により受理され日本経営分析学会の30周年記念事業の経営分析のための英文図書が4月に公刊された。そのため、本研究の集大成としての著書としては、日本語での公刊に変更してすすめる。また、TATT論文は台湾会計学会および2013AMPAAでのコメントを反映させて英文雑誌に投稿する。「システム統合と内部統制・監査の関係」論文は、Growth of Firms, Ownership, and Value: East meets West, Chuo University Kaken Workshop In Collaboration with University of Hawaii at Manoaで受理され2014年9月にハワイ大学で報告予定である。
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Research Products
(7 results)