2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530594
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okazaki Women's Junior College |
Principal Investigator |
河合 晋 岡崎女子短期大学, 経営実務科, 准教授 (20560725)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 会計学 / 自治体病院 / 経営改善 |
Research Abstract |
交付申請書に記載した「研究の目的」の中で、「自治体病院にあって、経営改善の取組みにより財務改善を達成した病院事例をもとに、統計的分析により経営改善努力と会計数値の関連性を明らかにする」とした。そして、同記載の「研究実施計画」(平成24年度)では、研究I:研究対象病院から提供していただく1次財務データのコンピュータ入力と、その分析および継続的インタービュー調査と、研究II:全自治体病院の公表データの整理と、事例・文献調査を実施することとしている。平成24年度における研究I・IIは、平成25年9月までの前半部分を実施することになっている。 研究Iについては、過去10年間の医業収益・医業費用の各科目数値(約250項目)の変化・特徴を、SPSSを用いて回帰分析等の統計的分析により明らかにする。医業費用の変動費に属する科目については明確な経営改善との相関性は判明しなかったが、固定費に属する科目の一部にはその相関が見られた。また、医業収益については、その変化と経営改善との相関が明らかとなった。そして、インタビュー調査により、研究対象病院の経営改善への取組みによる効果としての裏付けがなされた。これは、今後具体的な経営改善の取組みと会計数値との関係における理論化に向けて、意義ある分析が実施されている。 研究IIについては、全自治体病院の公表データの整理は概ね完了している(平成24年度は未発表のため、まだ終了していない)が、研究対象病院と類似した病院の特定には至っていない。文献調査においては、統計的分析に関する研究を中心に進めており、統計的分析の合理性に留意することは、今後の研究方向を見誤ることがないようにする点で重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究Iについては、研究対象病院から提供していただいた1次財務データのコンピュータ入力は当初予定通り進んでいるが、統計的分析の合理性に疑問が残っているので、精緻な分析が平成25年9月までの課題である。また、研究対象病院の担当者が人事異動となり、かつ議会準備や報告書準備など忙しい時期が重なり、インタビュー調査と研究結果のフィードバック・サービスが当初の予定通りには進んでいない。 研究IIについては、全自治体病院の公表データの整理まで進んでいるが、研究対象病院と類似した病院の特定には至っていない。研究III・IVに繋げるためには必要な作業であり、平成25年9月までにはその特定と分析を進めなければならない。 総じて、教育活動・校務に加え、日本ビジネス実務学会での共同研究や、行政機関からの助成研究と重なり、当初計画のエフォートより時間が確保できなかったことで、24年度内での論文・学科発表の成果が出なかったことを反省し、当該研究の時間確保に留意する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究Iと研究IIは平成25年9月までに完了する計画である。上記【現在までの達成度】にあるように、研究Iでは、統計的分析の合理性の疑問を解消するよう、考えられる分析手法を駆使し、また専門家や学会での意見を拝聴することで克服する。そして、インタビュー調査に基づいた経営改善努力と会計数値との相関性を統計的分析により明らかにする。また、研究IIは膨大なデータではあるが、これも研究III・IVに繋がる重要な作業であることから、平成25年度のなるべく早い時期に研究対象病院との類似病院の特定を完了し、類似病院を念頭に関連する文献調査研究を進める。 研究IIIは平成25年10月から来年度に向けて実施する計画である。研究I・IIで得られた知見を、研究対象病院の類似病院でも適用出来るか、すなわち汎用性があるかについて、アンケート・現地調査することで、当該知見の裏付けを図り理論化する。類似病院は予備調査によると6病院であるが、その後の環境変化も考慮していく。また、平成24年に民間病院のヒヤリングをした結果から、当初計画の自治体病院よりも幅をもたせた研究が可能である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
設備備品費においては、研究I前半で統計的分析に関する図書購入費が中心となったが、平成25年度の研究I後半では、研究対象病院との類似病院を念頭に関連する文献調査研究および管理会計に関連する文献、さらに研究協力者からアドバイスしていただいた海外との比較研究のため海外文献の調査に充てる。 消耗品費においては、プリンタインクやコピー用紙等は平成24年度と同様であるが、国立国会図書館等での論文の複写・取寄せを拡充させ、平成25年度は広く先行研究をする必要がある。 旅費においては、研究対象病院の都合もあるが、なるべく多くの月に出張するとともに、学会発表は研究I・IIが完了する秋季以降に集中させる。なお、MMRCものづくり管理会計研究会(東京大学)は、当初計画が年11回参加であったが、開催回数が減少されることになったので、数回に留まるものと予想される。
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