2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本型自助組織「断酒会」による社会啓発活動の変遷―薬物乱用対策から自殺予防へ
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24530595
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
眞崎 睦子 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (40374631)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自助組織 / self help group / gateway drug / alcoholics Anonymous / 自殺 / 薬物教育 / 高齢者 / 問題飲酒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の最終年度にあたる平成26年度には、これまでの研究成果を国際学会で発表し、その内容を、研究代表者が「日本型自助組織」とする「断酒会」関連の集まり及び地域社会において発信した。 関連の教育活動として、北海道大学主題別科目「社会の認識」講義題目「社会問題としての飲酒」を担当し、2002年より実施している無記名アンケート調査「飲酒に関する大学生の意識調査」の結果などを用いることにより、日本国内における自助組織の受容について分析を加えた。 6月にはブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)で開催されたNinth International Conference on Interdisciplinary Social Sciencesにおいて「断酒会」による社会貢献活動の変遷について発表を行った(On the Transformation of Danshukai, a Self-help Group in Japan)。この発表内容を国内において得られた講演の機会に発信した。演題は「断酒会と社会をつなぐ家族の役割」(全日本断酒連盟第51回全国大会、10月)、「暮らしの中のアルコール関連問題」(第5回あさひかわ地酒フェア2014特別講演会、10月)、「社会問題としての飲酒」(NPO法人札幌連合断酒会秋の連合例会及び研修会、11月)などである。 中でも、小規模な調査ではあるが、「断酒会が自殺予防に役立つ」と回答する人が約9割であることを確認できたことは(平成25年8月に大分県で実施の調査より)、研究代表者の仮説の一つである「酒という合法薬物の乱用対策で始まった断酒会による社会貢献活動が、時代と共に変容をとげ、高齢者の孤立・自殺予防においても重要な役割を果たすようになった」―これを裏付ける一つの結果として意義深く、今後の研究につながるものであると考える。
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Remarks |
本研究課題とは別の取り組みではあるが、関連の研究成果として、研究代表者による編集『お酒を手にした未成年のあなたへ―断酒会会員と家族からの手紙ー』(平成25年10月刊行)が北海道大学学術成果コレクション(HUSCAP)で公開されたことをあげる。
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