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2012 Fiscal Year Research-status Report

社会学的リスク論による「リスクガバナンス」モデル構築のための学説史的・理論的研究

Research Project

Project/Area Number 24530596
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionHokkaido University of Education

Principal Investigator

小松 丈晃  北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (90302067)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords社会学的リスク研究 / 社会システム理論
Research Abstract

平成24年度の研究計画に基づき、システミック・リスクという新たなリスク現象に関して、社会システム論およびそれを軸にした社会学的リスク研究の知見を基盤にしながら、(1)3つの学会報告をおこない、また、関連する業績として、(2)『現代社会学事典』(弘文堂刊、2012年12月)への項目執筆、および、(3)社会システム論の理論研究にかかわる共著書(文眞堂刊、2013年3月)を公刊した。(1)に関しては、7月の東北社会学会大会課題報告(シンポジウム)「科学・リスク・倫理」において、「科学技術のリスクと<制度的リスク>」と題して、また、11月の日本社会学会大会テーマセッション「震災問題を考える─リスク社会における『科学と社会の関係』」では、「3.11以後の科学技術のリスク規制」と題して、さらに、12月の科学社会学会設立記念第1回大会にて、「科学技術のリスク管理への社会システム論的接近―ルーマンの組織システム論を軸にして―」と題して、それぞれ口頭報告を行い、これらの報告を通じて、システミック・リスクが、各システムに固有の「リスク変換」とでも言うべきプロセスを介在させることで深刻化してゆく現象について、東日本大震災を事例にしながら、明らかにした。(2)については、「安心」、「不安」、「リスク」の3項目について執筆した。また、(3)は、春日淳一(元関西大学教授)・高橋徹(中央大学)両氏との共著で『滲透するルーマン理論─機能分化論からの展望』と題した研究書を刊行し、第1章「ルーマン政治論におけるシステム分出の条件と諸論点」(3-36頁)と第5章「社会的排除のリスクに抗する機能システムはありうるのか」(129-154頁)を執筆担当し、機能分化が抱える問題について理論的検討を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成24年度に遂行予定の研究目的のうち、東日本大震災およびそれに伴って生じた原発震災をとおしていよいよ明示的になってきた、システミックリスクという新しい現象についての分析については、上述した各学会報告をとおして、おおむね明らかにしえたところであり、また、機能的分化が抱える課題および機能的分化の変容にかかわる理論的検討に関しては、著書『滲透するルーマン理論』を刊行し、その中で政治システムの自律性にかかわる論考、また、社会的排除のリスクに抗する機能システムの可能性にかかわる論考によって明示してきたところである。また、上記の学会報告の一部において、社会学的なリスク研究の諸潮流にも若干触れたことで、それぞれのアプローチの意義と課題を明示化してゆく作業の手がかりを得ている。他方で、社会学的リスク研究を推し進めるためのデータベースの構築に関しては、上記の学会報告および研究書の刊行のために十分に時間をとることができなかったために、準備がやや遅れている。また、社会学的なリスク研究の諸潮流のうち、ガバメンタリティ論に依拠したアプローチと文化論的アプローチに関して、それぞれの意義・課題を整理する作業が、他のアプローチに関わる作業と比較して、いささか手薄な感が否めない。以上の理由により、「おおむね達成できている」と自己評価を行った次第である。

Strategy for Future Research Activity

平成25年度は、(1)社会学的なリスク研究の諸潮流をサーベイする作業を前年度から引き続き行い、とりわけ、平成24年度に若干手薄であった部分を重点的に整理する作業に従事する。これについては、本年度内に研究論文として公刊予定はないが、平成26年度に刊行予定の『リスクの社会学理論』(世界思想社刊)の中に、いくつかの章として組み込むことによって遂行していく予定である。(2)また、メゾレベルとくに組織論のレベルでの「社会学リスク研究」に資するような枠組みを彫琢するための学説・理論研究も予定しており、これをテーマとした論文を、2本、公刊予定である。(3)機能的分化に関わる研究としては、(a)平成25年10月に、「リスク社会と機能的分化」にかかわる学会報告(東北社会学研究会大会(於:東北大学))を行う予定であり、また、(b)機能的分化論の理論的主導者の一人であるN.ルーマンの著作の翻訳の、年度内の刊行を予定している(法政大学出版局刊)。これらを踏まえて、リスクガバナンスの理論モデルの構築のための準備作業としたい。さらに、平成24年度に準備が不十分であり若干作業が遅れていた、データベース構築の作業については、本年度から、本学学生による研究補助を得て、進めていく。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度の残額(「次年度使用額(B-A)」)として17,422円あり、これが生じた理由は、購入予定の図書が年度内に調達できなかったことによる。そのため、これは、平成25年度に、当初予定の図書の購入費に充てる予定であり、平成25年度の物品費に合算して使用する。

  • Research Products

    (5 results)

All 2013 2012 Other

All Journal Article (1 results) Presentation (3 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 書評・松本三和夫『テクノサイエンス・リスクと社会学』2012

    • Author(s)
      小松丈晃
    • Journal Title

      化学史研究

      Volume: 第39巻第4号 Pages: 224-227頁

  • [Presentation] 科学技術のリスクと<制度的リスク>

    • Author(s)
      小松丈晃
    • Organizer
      東北社会学会大会
    • Place of Presentation
      山形大学
  • [Presentation] 3.11以後の科学技術のリスク規制

    • Author(s)
      小松丈晃
    • Organizer
      日本社会学会大会(テーマセッション)
    • Place of Presentation
      札幌学院大学
  • [Presentation] 科学技術のリスク管理への社会システム論的接近―ルーマンの組織システム論を軸にして―

    • Author(s)
      小松丈晃
    • Organizer
      科学社会学会成立記念第1回大会
    • Place of Presentation
      東京大学
  • [Book] 滲透するルーマン理論─機能分化論からの展望─2013

    • Author(s)
      高橋徹、小松丈晃、春日淳一
    • Total Pages
      215
    • Publisher
      文眞堂

URL: 

Published: 2014-07-24  

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