2014 Fiscal Year Annual Research Report
社会構造の変動が社会意識に与える影響の数理・計量的分析
Project/Area Number |
24530599
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
數土 直紀 学習院大学, 法学部, 教授 (60262680)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 階層帰属意識 / 一般的信頼 / 階層イメージ / 未婚化・晩婚化 / 民主化 / 格差社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトでは、主に3つの知見を得ることができた。明らかにされた知見とは、(1)社会変動としての未婚化・晩婚化が人びとの階層帰属意識に及ぼした影響、(2)社会変動としての民主化と社会関係資本を構成する一般的信頼の間にある重合的な関係、そして(3)総中流社会から格差社会という社会変動を促した人びとの階層イメージの変化である。 まず未婚化・晩婚化が階層帰属意識に及ぼした影響であるが、1985年SSM調査(社会階層と社会移動全国調査)データ及び2010年SSP-I調査データをもちいた分析によって、かつては社会的地位としては意識されていなかった婚姻上の地位(未婚・既婚・離死別)が現在では社会的地位として機能していることが明らかにされた。この事実は、未婚化・晩婚化がすべての社会階層に均一に生じていた社会変動ではなく、階層格差の生産・拡大をともなった社会変動であったことを示唆している。 次に民主化と一般的信頼の関係であるが、2005年SSM調査データ、2012年SSP-W調査データ、そして世界価値観調査データをもちいた分析によって、一般的信頼は民主的な価値観によって醸成されるだけでなく、権威主義的な価値観によっても醸成されるうることが明らかにされた。民主的な価値観と一般的信頼はこのように両義的であるため、民主化の進展はつねに一般的信頼を強化するわけではなく、場合によっては一般的信頼を損なう場合もある。 最後に総中流社会から格差社会への変化と人びとの階層意識の変化との関係であるが、1985年SSM調査データと2010年SSP-I調査データをもちいた分析によって、格差社会への変化は人びとの階層意識上に現れるよりも、人びとの階層イメージ上に強く現れていることが明らかにされた。
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Research Products
(4 results)