2012 Fiscal Year Research-status Report
異質な人びとが共同管理するコモンズへ向けた数理社会学的研究
Project/Area Number |
24530601
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
中井 豊 芝浦工業大学, システム工学部, 教授 (00348905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 正義 芝浦工業大学, システム工学部, 准教授 (00553231)
瀧川 裕貴 東北大学, 国際高等研究教育機構, 助教 (60456340)
金澤 悠介 立教大学, 公私立大学の部局等, 助教 (60572196)
朝岡 誠 東京大学, 社会科学研究所, 研究員 (70583839)
堀内 史朗 芝浦工業大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90469312)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | コモンズ |
Research Abstract |
経験的研究に関しては、岡山県西粟倉村の森林管理の実態に関してフィールドワークを開始した。(株)トビムシを中心に、研究メンバーとの信頼関係を構築できた。森に拘った事業展開を行う社会的企業を媒介として村外の市民が共同的に林野を管理できる形式となっていることを確認した。 モデル・理論構築に関しては、基礎的検討として、共同体の結束を脅かすメカニズムを検討し、共同体内部の非協力者のモデル(鈴木)を日米数理社会学会議にて、外部の敵対者(非協力者)のモデル(中井)を、日米数理社会学会議と世界社会シミュレーション学会にて発表した。また、異質な行為者が境界を越えてネットワークを形成するメカニズムを、数理社会学会にて発表した(武藤)。 次に、コモンズの管理は過剰利用の文脈で探求されてきたが、森林の様な更新不可能な資源の維持には継続的な利用が必須であり、一方で過疎化が進む我が国中山間地の現状を考える時、過少利用による管理放棄が問題となっている。そこで、協力的な外部者を導入することが持続的な資源維持管理にどう影響し得るのかを数理モデルにより明らかにし、数理社会学会にて発表した(堀内)。 一方で、外部者には盗採を繰り返す者が後を絶たず問題となっている。そこで、山林利用料等を含め適切な共有林野の管理方法とはどの様なものかをエージェント・ベースト・モデルにより明らかにし、数理社会学会にて発表した(朝岡)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度(初年度)の計画においては、西粟倉村への予備調査の実施と、基礎的な数理・シミュレーションモデルの構築を進めることとなっており、前者においては最大の目的である信頼関係ができ、後者においては様々なモデルを学会発表するにまで至った。モデル構築に当たっては、協力的な外部者と非協力的な外部者という検討枠組み、また、過少利用による共有林野の消失の視点を設定できたことが最大の成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
①経験分析班:平成25年度は主に西粟倉村のフィールドワークを行う。前年度の予備調査をもとに本調査をおこなう。調査は、少人数による長期にわたる現地滞在を念頭に置いた参与観察を実施する。また、2入会林野の事例分析を行う。 ②モデル分析班:経験分析班の本調査の知見をもとに、24年度に構築した外部者の導入モデル、資源の適正管理モデルを、深耕・発展させる。そして、新たな共同管理が可能になる社会的条件や、私有や公有という管理形態から新たな共同管理への移行が可能になるメカニズムの検討を行う。 ③社会理論班:上記の理論を規範的社会理論に依拠して意味付ける。ここでは、個人間の異質性が社会的連帯にプラスの影響を及ぼすと主張しているPage(2010)や判断集計論(List and Pettit 2002)を参照点としながら、新理論を位置づける。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
西粟倉村におけるフィールドワークでは、まず、経験分析班のメンバーと他の班の代表者を含めた4人で事業に参加する。この作業と、前年度の予備調査やモデル分析班、社会理論班が構築したモデルを基にして、続く参与観察の方向付けを有効に行うことが可能となる。その後、観察者1名が長期の参与観察(2週間×2回)を行う。堀内の経験上、のべ4週間の観察期間は最低限必要である。 モデル分析班では、この結果を基に、前年度構築した基礎モデルを基にシミュレーション・モデルを構築し、新たな共同管理を生む社会的条件や新たな共同管理への移行メカニズムを探索する。この作業は、エージェントの数を増やした中で多数のパラメータ空間を探索するため、高性能マシン(Studio XPS 9100)を使って長時間の大規模計算を行う必要がある。
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Research Products
(6 results)