2014 Fiscal Year Annual Research Report
異質な人びとが共同管理するコモンズへ向けた数理社会学的研究
Project/Area Number |
24530601
|
Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
中井 豊 芝浦工業大学, システム工学部, 教授 (00348905)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 正義 芝浦工業大学, システム工学部, 准教授 (00553231)
瀧川 裕貴 東北大学, 学内共同利用施設等, 助教 (60456340)
金澤 悠介 岩手県立大学, 総合政策学部, 講師 (60572196)
朝岡 誠 立教大学, 公私立大学の部局等, 助教 (70583839)
堀内 史朗 山形大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (90469312)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | コモンズの悲劇 / 社会的ジレンマ / 入会地 / 過剰利用 / 社会的起業家 |
Outline of Annual Research Achievements |
人口が増加する中で地域資源の過剰利用を防ぐためには、地域住民による自発的管理がきわめて効果的である(Ostrom 1990)。つまり、個人・企業による私有や国・自治体による公有のかたちをとるよりも、共同所有にもとづく自治を行う方が、より適切に管理される場合が多い(Chhatrea and Agrawal 2009)。そして「コモンズの悲劇」を乗り越えて自発的管理を成功させるための条件(例えば住民間の密な社会的ネットワークや相互信頼)も明らかにされつつある(Ostrom 2009)。ところで我が国の多くの地域社会は、急速な過疎化に伴う過少利用の問題に直面している。過疎化が進み住民間のネットワーク自体が失われつつある中でも、地域住民による自治という処方箋は、有効なのだろうか。本プロジェクト(「異質な人びとが共同管理するコモンズへ向けた数理社会学的研究)は、この点に関連して、地域住民の自治に替わり地域と外部支援者の連携が有効であることを理論的に明らかにした。また、協働の実態を先進事例である岡山県西粟倉村のフィールドワークを通じて調査し、a.地域社会内部にリーダーが出現し集団内部での利害対立を乗り越えるとともに、社会的起業家(地域に共感する地域外部の企業家)が外部に現れ内部リーダーと協働すること、b.このネットワークが地域資源の特色を活かした財・サービスを生産し、地域や環境の価値に共感しその支援のために商品を購入する消費者(支援型消費者)の購買に供すること、c.また同時に、地域に共感する市民投資家(社会的投資家)から少額の寄付・出資を得ることなど、重層的な協働の様相が浮かび上がってきた。そしてこの様相は、これまでの過剰利用の文脈と比較して、決定的に異なっている。
|
Research Products
(9 results)