2012 Fiscal Year Research-status Report
社会階層と社会的ネットワークの地域比較についての平均構造モデルの適用
Project/Area Number |
24530603
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
菅野 剛 日本大学, 文理学部, 教授 (10332751)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 社会的ネットワーク / 社会階層 / 地域比較 |
Research Abstract |
本研究では、学際的に関心が持たれている、格差と社会関係の関連について分析を進めている。その際に、様々な地域で実施した地域調査データを比較することにより、社会階層と社会的ネットワークの間の関連を、より具体的に把握できるように試みている。例えば、大規模全国調査データにおいて操作化される都市度変数と、地域調査における用いられる地域変数とでは、その意味・効果が異なっていると思われる。これまでに、計画標本数1500-1600程度の地域調査を繰り返し実施し、データを少しずつ蓄積しており、既存の地域調査データの点検とマージ作業にまず取り組んだ。そして、データの構造を反映させ、より適切な分析を行うため、探索的分析や可視化の様々な手法、多母集団解析や平均構造モデルの適用と仮説検証について研究を行った。また、資料収集、先行研究の確認、効率的なデータハンドリング方法の模索、プログラミングの修得や準備、調査票設計や社会調査の実施の準備を行った。このように、社会的資源の不平等な配分状況を表す社会階層のあり方と、人々の日常的な生活の基礎をなす社会的ネットワークのあり方の間の関連について、どのような関係が見られるのか、実証的研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画として、1年目の平成24年度に、資料収集、先行研究の確認、効率的なデータハンドリングの模索や、新しいデータ解析手法やプログラミングの修得に必要な準備、社会調査の実施の準備にあてている。そして、2年目の平成25年度に、地域調査を実施し、調査データを収集、データ作成を予定している。3年目の平成26年度には、これらデータをもとに分析を行い、研究成果を報告する予定である。 このうち、社会的ネットワークに関する研究として、近年はソーシャル・キャピタル概念を媒介として、社会学のみならず、政治学、社会疫学、老年学、経済学、心理学、行政などで学際的に様々な学術分野の研究が急速に蓄積しており、様々な理論仮説、調査項目、ファインディングスなどにあたった。また、二次データ分析として、社会階層と社会移動に関する全国調査SSM、全国家族調査NFRJ、全国家族調査パネルスタディなどの大規模全国調査データ、さらにその他のデータも用いて、社会的ネットワークのあり方と特徴を把握する探索的分析を行った。年齢に伴う社会的ネットワークの変化はしばしば指摘されるところであるが、これらの分析より、加齢効果以外に、時代効果やコホート効果の重要性が示唆された。一時点の横断調査データの分析結果だけではなく、様々なデータに注意しながら、慎重に検討することの重要性が確認できた。また、データハンドリング、データの可視化、データ解析の分野についても、日々進展している。これらについても国内外の情報や文献にあたることで、効率的で正確な分析をこころがけるようにつとめる準備を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究を元に、郵送による地域調査を実施する。これまでに、北海道札幌市北区、大阪府吹田市、東京都世田谷区、群馬県桐生市、東京都府中市、東京都足立区、東京都中央区において、それぞれ計画標本数1500-1600程度の無作為抽出による郵送地域調査を実施してきた。調査対象地域は、これまでの調査地域と社会・経済・文化的に、対照的な特徴を有するような場所を選定する。慎重な準備の上、サンプリングを行い、郵送調査を実施し、調査票回収後にエディティング作業、データ入力、ロジカルチェック、データクリーニングなどの一連の作業を実施する。その上で、統計解析についての新たな手法を用いてデータの分析を行う。年齢と社会的ネットワークの関連については、純粋に加齢効果によるものだけではないことが二次データ分析によって示唆されたため、他の大規模調査データやパネル調査データとの比較分析や得られる知見に目を配りながら、分析を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、これまでに実施してきた調査地域と対照的な地域を選定の上、フィールドワークを行う。そして、選挙人名簿抄本に基づいて、等間隔無作為抽出、調査対象者1500-1600名程度の郵送地域調査を実施する予定である。選挙実施年度でもあるため、これらにぶつからないように調整をする必要がある。研究費の使用については、これらの、現地フィールドワークや郵送調査の実施に関連する形で出費を執り行う。具体的には、サンプリング等に関する人件費、資料収集費用、挨拶状・調査票・督促状、封筒等の印刷費用と郵送費用、謝金、報告書作成費用などである。その他にも、統計学や社会調査に関連する専門書籍やソフトウェア等の購入に使用する。
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