2012 Fiscal Year Research-status Report
現代社会における「生きづらさ」に関する芸術社会学研究
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24530607
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
藤澤 三佳 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (00259425)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 芸術 / 障害者 / 生きづらさ / 精神病院 |
Research Abstract |
生きづらさを抱える人々が、絵画、詩、音楽、パフォーマンス等、種々な芸術表現を用いて活動をおこなっているグループに関して調査研究をおこなった。 さまざまな「生きづらさ」という感情をもたらす社会的要因間の関連を解明し、その問題的状況を芸術活動を通して解決していく相互作用プロセスに関して探求し、その研究結果は、「精神病院における自己表現としての絵画活動と鑑賞者の共感性」として、日本社会学会(於:札幌学院大学)における研究報告としておこなった。 さらにカウンセリングセンターや心療内科、精神科等の医療機関のなかで申請者が現在まで活動に関わるなかで関係を持続しており調査協力を得られる機関に協力を要請し、生きづらさの現状、社会的要因間の関連性、問題的状況の解決に関する芸術活動の役割に関する調査もおこなった。 上記研究結果としては、日本社会臨床学会における学会誌である『社会臨床雑誌』(第20巻、査読有)において、「精神科病院における芸術活動」として論文として発表をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的の達成度は、おおむね順調に進展している。 その理由として、4~7月という早い時期に、比較的スムーズに調査協力が得られたため、生きづらさを抱える人々が、絵画、詩、音楽、パフォーマンス等、種々な芸術表現を用いて活動をおこなっているグループに関して調査研究をおこなうことができたことを最大の要因として挙げたい。 そのため、11月の日本社会学会における報告(「精神病院における自己表現としての絵画活動と鑑賞者の共感性」)をおこなうことができた。また『社会臨床雑誌』(第20巻、査読有)において、「精神科病院における芸術活動」として論文として執筆することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に記載したとおり、今度の研究の推進方策としては、以下の研究調査を中心におこなう。 まず、精神医療との関連をもつグループとして、東京足立病院精神科は、その先駆的存在として40年近い歴史をもっており、また、平川精神科病院、及び茨城県袋田病院の外来デイケア枠内でおこなわれている芸術活動は、摂食障害、ひきこもり症状を抱える若者を多く含んでいるので、彼らのなかには自殺未遂の経験者が多いので、自己表現をおこなう過程において、彼らの社会的自己はどのように変容していくのか、そして鑑賞者である他者が彼らの表現に関してどのように感じ、さらにいかなる社会的変化がもたらされるかという点を詳細に分析し、また彼らを支える人間的、社会的ネットワーク、鑑賞者に関しても調査をおこなう。また発表の場として、中国における日本臨床心理学会報告を計画している。 また、生きづらさを抱えた人々の芸術作品を、行政との連携をおこなうことによって、11月に1週間、公共スペースに展示する計画である。上記は図書出版として計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記研究推進計画を実施するために、東京足立病院、平川病院等への調査をおこなう交通費、宿泊費等が必要となってくる。 また国際的に、日本における状況を海外の研究者からみた反応を知り、議論する目的で、中国の大連大学において学会報告をおこなうため、その交通費にも使用する計画である。
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Research Products
(2 results)