2013 Fiscal Year Research-status Report
子育て・子育ちのジェンダー関係とネットワークの日韓比較:多様化と格差拡大の中で
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24530620
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
山根 真理 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (20242894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 キョンウォン 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (90263425)
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Keywords | 子育て・子育ち / ジェンダー / ネットワーク / 日韓比較 / 国際研究者交流(大韓民国) |
Research Abstract |
2013年度は、韓国におけるインタビュー調査を実施した。8~9月に大邱広域市で、3月に昌原市および春川市で、乳幼児をもつ親を対象にした半構造化インタビュー調査を実施した。ケース数は、大邱広域市で5名、昌原市で4名、春川市で3名、計12名である。インタビューは現地研究協力者である洪上旭氏、呉貞玉氏、李京姫氏の協力を得て、各地域において、喫茶店、ホテルの会議室、協力団体が提供してくれた会場(社会福祉協議会の一室等)で実施した。1ケースにかかったインタビュー時間は1時間~1時間30分程度である。 3つの地域のうち、大邱広域市のインタビューは、ひとり親のケース、国際結婚のケースなど、現代の多様な家族の子育てを把握するうえで、適切な対象者の選択ができた。昌原市、春川市でインタビューしたケースは共働きのケースに偏ることになったが、これらの都市では、男性稼ぎ手モデルの揺らぎと保育無償化が進行するなかでの「ワーク・ライフ・バランス」の主題を考えることができるデータを収集できたと考えられる。 大邱広域市のデータは、テープおこしをし、研究者間でデータの共有ができる状態になっている。2014年度に昌原市、春川市のデータについてもテープおこしをし、データの共有をはかる予定である。 上記のインタビュー実施に際して、すべてのインフォーマントに調査目的、方法等の説明を行い、納得のうえ同意書に署名をしていただいた。同意書に署名していただく際、インタビュー開始後に同意撤回もできることを伝えた。12ケースすべてについて、同意撤回はなされなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目に日韓の地方都市における、子育て・保育施策の動向を、地方自治体および保育関連施設での聞き取りにより把握した。また、関連資料の収集を行った。あわせて、韓国の共同研究者を確定し、研究ネットワークを構築した。 2年目は計画通り、韓国の地方都市におけるインタビュー調査を実施した。12名の方々に半構造化インタビュー項目にもとづいたインテンシブなインタビューを行うことができた。当初の計画と照らし合わせると、対象者の「多様性」という点で、やや不十分ではあるが、その点は3年次に補充調査を行うことで補完できると考えられる。 当初の計画より進展した点は、関連する科学研究(平井晶子代表)において、日本の地方都市(愛知県刈谷市)において、子育て・子育ちとネットワークに関連する質問紙調査が実施できたことである。この質問紙調査の対象者の方々のうち、連絡先を書いてくださった方を対象に2014年度にインタビュー調査をする計画である。 以上のように、おおむね計画通り研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
3年次は、計画通り日本の地方都市においてインタビュー調査を実施する。当初の計画では愛知県および岡山県で実施する計画であったが、関連する研究プロジェクトで2013年度に質問紙調査を実施した愛知県刈谷市で、質問紙調査の自由記述欄に連絡先を書いてくださった方々を主な対象者として、インタビュー調査を行い、岡山等、他地域の調査は補助的な位置づけにする。 また、3年次には、韓国の共同研究者を招聘し、日本で開催される学会で得られたデータをもとに、共同報告をする。あわせて、日本におけるインタビュー調査の一部を韓国の共同研究者と一緒に行い、インタビューの過程および結果について議論することで、認識を共有し、データ解釈を深める。 さらに、上記の調査データ分析をすすめ、学会報告の内容を深化させて、調査結果を研究報告書にまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
82786円の次年度使用額が生じた。その主な理由は、2013年度のインタビュー調査の一部が3月に実施され、インタビューデータの書きおこしを年度内に依頼するのが難しかったためである。また、3月に実施した春川調査において、計画していたよりもインタビュー日数が少なくなったことも次年度使用額が生じた一要因である。 2013年度に実施したインタビュー調査データの書きおこしを、韓国語のネイティブ・スピーカーに依頼する。 また、2013年度に関連科学研究プロジェクトにおいて愛知県で実施した質問紙調査対象者のうち、連絡先を記してくれた方々に協力を依頼してインタビュー調査を実施する計画であり、その際の旅費、データ整理の謝金にあてる。あわせて、韓国の研究協力者招聘と学会発表、日本でのフィールドワークにかかる費用等に使用する。
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Research Products
(7 results)