2013 Fiscal Year Research-status Report
アカデミック・ハラスメントを生み出す研究スタイルおよび研究組織の分析
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24530629
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北仲 千里 広島大学, ハラスメント相談室, 准教授 (60467785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 美栄子 広島大学, ハラスメント相談室, 教授 (50259660)
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Keywords | アカデミック・ハラスメント / 研究倫理 / オーサーシップ / 講座制 |
Research Abstract |
【講座制の問題をめぐる議論のサーベイ】 日本の大学の(小)講座制と、その「弊害」について論じた文献のサーベイを行い、また、講座制と臨床の医学部組織の問題の特質との差異などに関する仮説を構築した。①明治から戦後の高等教育政策における小講座制導入の状況、②1960年代、70年代の日本の小講座制批判の議論、③2005年の学校教育法改正前後の議論や実態調査。戦後、政府は旧帝大とすべての医科歯科系大学・学部だけに講座制を導入し、「研究大学」として差別的な予算配分を行ってきた。90年代以降、大学院重点化が進んでも、講座制の運営自体は根本的には変更されることはなかった。2005年の学校教育法改正で講座制/学科目制の区別は法制度上は存在しなくなったが、現在も研究中心の大学の、特に自然科学系・医学歯学系の多くが、講座制的な運営を続けていると見られる(しかし実情はあまり明らかにはされていない)。学校教育法改正にむけた審議会報告書では、大学が講座制、学科目制をとること自体は否定しておらず、それは大学の教員組織編成の自由の範囲にあるとされ、基準から抹消することの意味は、それが「代表的モデル」とはされないという意味にすぎない。60-70年代に講座制の弊害がさかんに指摘され、「民主化」が目指されたが、そこでも自然科学系の実情(研究スタイルや講座運営の実情)をふまえた議論は、あまり多くは展開されていない。 【インタビュー調査に向けた枠組みの構築】インタビュー調査の枠組みを構築するための議論を行った。外部の研究協力者をまじえた会議を11月と2月に開催し、インタビューの準備を行った。 【インタビュー調査の実施】2月と3月に5人の自然科学研究分野の大学教員にインタビューを実施し、講座制の問題に関して二人の異なる大学の教員に、インタビュー及びメールでの調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はインタビュー調査を本格的に実施するのが当初の予定であったが、そのインタビューの準備、分析のあたっての仮説の構築に時間を費やしたため、インタビュー調査には着手したものの、次年度にも引き続き行うことになった。しかし、講座制をめぐる議論のサーベイは実施することができた。とはいえ、医局講座制に関する学術的な議論のサーベイを試みてはいるものの、なかなかそのような文献を見つけ出すことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビュー調査を引き続き行う。 インタビュー調査の結果の分析を行う。 講座制の分析と、医局講座制分析のためのサーベイを引き続き行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度は、予定していたインタビュー調査の実施が遅れ、試験的にしか実行せず、文献サーベイ及びインタビュー調査の枠組みの構築作業を主に行ったため、あまり経費を必要としなかった。また、試験的なインタビュー調査は広島大学の対象者が多かったため、旅費も発生しなかった。 予定していたインタビュー調査を本格実施するため、そのための旅費、録音テープ起こし及び研究補助者、助言者への謝金ですべての予算を執行する予定である。
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Research Products
(4 results)