2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24530631
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
吉田 誠 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90275016)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 性別職務分離 / 労使関係 / 男性職場化 / 女性労働者 / 自動車産業 / 臨時工 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では研究期間全体を通して、日産自動車が敗戦後の1945年から1949年のドッジライン下の整理解雇において形成されてきた人員体制の確立について明らかにしてきた。とりわけ従来の研究においては等閑視されてきた臨時工や女性の問題をとりあげるとともに、労働組合における配転規制や採用規制が、そうした人員体制の確立にあたって重要な意義を有していることを明らかにしてきた。 最終年度においては該当時期の『神奈川新聞』に掲載した募集広告を資料として、性別の観点からしてどのような人員体制を築いていたかを検討し、この時期の人員募集が戦時中の総動員体制の枠組みを継続する形で行われたことが明らかになった。すなわち、事務員のみならず、現場労働者についても、男性のみならず、女性をも包含する形で積極的に進められたのである。 他方、こうした女性労働者の活用は性別職務分離を伴う形で進められていた。事務部門においては賃金の計算業務に携わる業務、また工場の現場作業においても、女性に適切だと経営陣が考える特定の職務について女性の活用が進められていたのである。 最後に、人員削減とのかかわりで、女性労働者の言説を検討すると、労働者としての自覚を持ちはじめた女性も一部出てきていた。しかし、他方では育てる性としての女性という意識に強く縛られていた。母になることによる女性の解放が意識され、仕事や労働組合の体験はそのための準備、下積みとして語られているのである。 こうした女性の意識は結婚などを契機に退職することを志向することになる。経営側からすればいずれ辞めていくことを考えている層だから解雇したとしても抵抗は少ないと読んだのであろう。労働基準法との関係で女性労働力の利用から生じていた職場管理上の摩擦をも踏まえて、1949年の人員整理では男性職場化を一挙に進めた背景にはこうした理由があったことを明らかにした。
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Research Products
(2 results)