2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530638
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
竹内 幸絵 大阪市立大学, 文学研究科, 都市文化研究センター研究員 (40586385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 礼子 大阪市立大学, 文学研究科, 客員教授 (00275504)
石田 佐恵子 大阪市立大学, 文学研究科, 教授 (70212884)
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Keywords | 広告史 / 歴史社会学 / デザイン史 |
Research Abstract |
本年度も初年度と同様に研究計画に記した①「旧蔵資料にあたりデータを整備する調査研究」(以下萬年社旧蔵資料調査)と、②「萬年社と大阪が広告史上果たした役割を俯瞰的に探究する研究」(以下大阪の広告史研究)の両軸で研究を進めた。 ①旧蔵資料調査については、初年度から取り組んできた「大型古資料」のうちの「しかけちらし」を中心とした希少性の高い小型の大正初期~昭和初期の広告類について、今年度で全件の調査データ取得・スナップ写真撮影を完了し、目録を完成した。また劣化がひどく、初年度目録作成に着手できなかった19世紀欧州リトグラフポスターは、今年度、所蔵者である大阪新美術館準備室(大阪市立近代美術館準備室から改称)の協力を得て、同室収蔵庫に於いて開墾作業を行った。リスト化・スナップ写真の撮影を行い目録が完成した。その結果1800年代に日本の広告代理店が日本に持ち帰った当時の欧州ポスター類であることが明らかとなった。さらに枚数が多く目録化未着手だった1990年代ポスターについても全件リスト化・スナップ写真の撮影を終えた。これらにより萬年社旧蔵資料の全目録が完成した。 萬年社旧蔵資料調査ではこの他に、黎明期広告会社の内部資料である「社史資料」と呼称している資料群について、今年度は約20点を選び文字おこしを行った。この内容を校正し3年目前半に資料集冊子として刊行を予定している。 一方②大阪の広告史研究については以下3回の研究会を開催した。開催日は2013年7月6日、2013年10月29日、2013年12月14日。複数大学の研究者、大学院生が毎回10人強参加。1名に報告を頂き、萬年社を含む大阪の広告史研究について意見交換した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①(萬年社旧蔵資料調査)については当初の予定より早く2年度までで目録を完成することが出来た。総数9000点を超える大型古資料群とポスター類の目録化により、当該資料を研究資料として利用する基礎環境が整った。 またこれらのうち、広告デザイン史上意味のあると判断された現物についてはスナップ写真で資料の姿がわかるようデータ化した。そして社史資料群の中での重要資料については文字起こし、PDF化を行った。これらにより当該資料については、より深い研究用途に供する資料となった。 収集したこれらのデータは、データベースソフト(ファイルメーカー)で管理しているが、初年度は写真データをデータベース内に取り込んでいたためファイル重量が過大となり検索などのスピードに支障をきたすこととなった。初年度発生したこの問題を今年度は写真をすべて外出しし呼び出す形に切り替える作業も行った。データベースとしての機能が向上し、この意味でも今年度の作業により今後の研究用途に供する環境が整ったと言える。 以上のとおり、今年度は①「旧蔵資料にあたりデータを整備する調査研究」(萬年社旧蔵資料調査)に注力し、大型古資料と社史資料の全容把握とデータベースの整備は当初の予定より早く完了した。①についての成果は早い段階で上がったということである。 一方で②「萬年社と大阪が広告史上果たした役割を俯瞰的に探究する研究」(以下大阪の広告史研究)は、3度の研究会の報告と検討にとどまった。ここでは広告史研究の視野を広げる重要な情報を得る意義があったものの、次のステップ、すなわちこの調査成果を元とした黎明期大阪の広告史についての研究調査については、今年度当初予定よりもやや進展が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
3年度は②「萬年社と大阪が広告史上果たした役割を俯瞰的に探究する研究」(以下大阪の広告史研究)を進展させ、公表できる成果作成の作成を重点的に行っていく。予定としては今年度末に、①も含めた成果報告会を開催することを目指したい。 まず年度初めに昨年までに完成した(萬年社旧蔵資料調査)の成果を研究分担者で共有し共同での分析を行う。ここでは2年度で完成した目録とスナップ写真などのデータが活用される。また、その他にも図書資料群の調査にも着手し、これらをも基礎資料とした研究を行う。 年度終わりには一部の現物の展示と成果を報告する会を開催する。この報告会以降は、最終報告資料集作成についても準備に入る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
<現在までの達成度>に記載の通り、今年度は①(萬年社旧蔵資料調査)に注力した。これはの作業を進めるうちに、作業員のスキルをも勘案し3か年をかけるよりも2か年で一気に行うほうが効率的かつ完成度が高いと判断したためである。②(大阪の広告史研究)を行うためにも先んじて①を完成させるほうが有効と判断した。この結果総数9000点を超える大型古資料群とポスター類を目録化、当該資料を研究資料に供することが出来る形に整えられた。 一方②「萬年社と大阪が広告史上果たした役割を俯瞰的に探究する研究」(大阪の広告史研究)は、3度の研究会の報告と検討にとどまった。当初予定では研究費を投入して次のステップ、すなわちこの調査成果を元とした黎明期大阪の広告史についての研究調査を進展させる予定であったがこれについては上記の理由により、今年度当初予定よりもやや進展が遅れた。以上が次年度使用額が生じた理由である。 <今後の研究の推進方策等>にも記載の通り、今年は①(萬年社旧蔵資料調査)にかかる作業がほぼ発生しないため、②「萬年社と大阪が広告史上果たした役割を俯瞰的に探究する研究」(大阪の広告史研究)に注力する。まず年度初めに昨年までに完成した(萬年社旧蔵資料調査)の成果を研究分担者で共有し共同での分析を行う。ここでは2年度で完成した目録とスナップ写真などのデータが活用される。また、その他にも図書資料群の調査にも着手し、これらをも基礎資料とした研究を行う。 年間を通して公表できる成果作成の作成を重点的に行っていく。予定としては今年度末に、①(萬年社旧蔵資料調査)も含めた成果報告会を開催することを目指したい。 具体的には一部の現物の展示と成果を報告する会を計画する。この報告会開催以降は、最終年度に向け報告資料集作成についても準備に入る。
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Research Products
(4 results)