2012 Fiscal Year Research-status Report
日韓の国際移動におけるローカルネットワークとコミュニティの生成と変容に関する研究
Project/Area Number |
24530639
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
伊地知 紀子 大阪市立大学, 文学研究科, 准教授 (40332829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤永 壮 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (00247876)
高 正子 神戸大学, 国際文化学部, 講師 (80441418)
鄭 雅英 立命館大学, 経営学部, 教授 (90434703)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際移動 / ローカルネットワーク / 日本 / 済州島 / 朝鮮半島 / コミュニティ / 在日コリアン |
Research Abstract |
2012年度は、済州島および大阪において、研究打ち合わせをするとともに済州島の北部中山間に位置する村で日韓の人口移動におけるローカル・ネットワークに関する資料収集を行い、8名の方へインタビュー調査を実施した。また、済州島から日本への渡航についての資料収集を行い、大阪で2名の方へインタビュー調査を実施した。日本でインタビューさせていただいた方のうち1名については、調査対象者に内容についての了承を得たうえで『大阪産業大学論集人文・社会科学編』へ来年度掲載する。インタビュー内容の起こしは、本研究に関心を持つ大学院生・研究者に協力を依頼した。本研究は、プライバシーの問題に関わるものであるため、必ず調査対象者に調査後の内容を確認し、公表についての許可を得たのち公表・公刊している。また、本研究の成果について、「大阪と「故郷」と結ぶ在日済州島人の同郷ネットワーク」と題して、台湾中央研究院近代史研究所・大阪市立大学都市文化研究センター共催国際シンポジウム「近代東亜城市的社会群体與社会網絡」(=「近代東アジア都市における社会集団とネットワーク」、開催地は台湾中央研究院近代史研究所)にて、研究代表者が報告を行った。韓国においては、資料を収集するとともに、韓国の研究者との最新の研究動向について意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
既存研究の検討により、移動を生み出す生活の論理についての共通の視座を共有したうえで調査に入ったことから、済州島での調査対象地域選定に役立ち、さらに予備調査において従来の研究成果では見落とされている視点について検討するにいたり、予想以上の成果を得た。また、韓国での予備調査により、対象地域出身者の予備調査へつなげることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の予備調査を踏まえ、済州島での人口移動調査を実施する。方法としては、集落の構成によって異なる。同姓の一族が多数を占める集落と複数姓によって構成されている集落では調査スタイルを変え、各戸調査と一族代表者調査を交えながら実施する。実施にあたっては、対象集落を中心とした地域について、事前に済州島出身の研究協力者による学習会を設定し、事前知識を共有する。済州島での調査成果を中間分析し、移動先である日本各地での親族および姻族関係、親睦会や民族団体との繋がり、就業や儀礼に伴うネットワークについて検証する。 これら生活構造を多面的に分析するにあたって、解放前からの済州島社会の変化については、歴史学からの研究蓄積のある藤永(分担者) が担当する。また、済州島から渡日と教育の関係については、研究実績のある鄭雅英(分担者)が考察を加え、在日済州島出身者の生活文化について研究を続けている高正子(分担者)が文化人類学的側面から分析を行い、これらに伊地知も社会学的分析を加える。本研究メンバーは調査実施時には可能な範囲で行動を共にし、常に情報や分析視点を相互に共有しつつ研究を進める。 研究成果については、日韓双方をベースに学会・研究会での報告、論文発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年度費目別収支状況等「次年度使用額(B-A)」」欄が生じた状況としては、インタビューデータのテープ起こしおよび翻訳、さらに翻訳校閲への着手が年度内に間に合わなかったことによるため、これらの経費および研究内容の検討のための打ち合わせ回数を増やす経費として、翌年度分として請求した助成金と合わせて使用する。
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Research Products
(11 results)