2013 Fiscal Year Research-status Report
日韓の国際移動におけるローカルネットワークとコミュニティの生成と変容に関する研究
Project/Area Number |
24530639
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
伊地知 紀子 大阪市立大学, 文学研究科, 准教授 (40332829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤永 壮 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (00247876)
高 正子 神戸大学, 国際文化学部, 講師 (80441418)
鄭 雅英 立命館大学, 経営学部, 教授 (90434703)
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Keywords | 国際移動 / ローカルネットワーク / 日本 / 朝鮮半島 / 済州島 / コミュニティ / 在日コリアン |
Research Abstract |
2013年度は、研究打ち合わせを大阪および済州島において行ったうえで、前年度調査を実施した済州島北部中山間に位置する村において実施したインタビュー調査の補充調査および新たに2名へのインタビュー調査を行った。この成果は、調査対象者に内容についての了承を得たうえで、国際高麗学会日本支部学会誌『コリアン・スタディーズ』2号に査読を経て掲載予定である。加えて日本国内でのインタビュー調査については、2名の方について調査対象者の内容確認を経て『大阪産業大学人文・社会科学編』に掲載された。インタビュー内容の起こしは、本研究に関心を持つ大学院生・研究者に協力を依頼した。また、日韓の人口移動におけるローカル・ネットワークに関して資料収集とフィールドワークで得られた知見については、「済州島民の渡日・在日体験と血縁・地縁ネットワーク―東回泉マウルの事例から―」と題して韓国青巌大学校在日コリアン研究所主催の第2回国際学術大会「在日コリアンの生活と文化」において発表、国内では、「境界を渡る人びと:在日済州島出身者の生活史から」と題して京都人類学会2月例会で報告するなど成果の公表を活発に行うとともに、各参加者と最新の研究動向について意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前年度の調査成果を検討し今年度の補充調査を加えた成果から、日韓のローカル・ネットワークを村単位で捉えかつ社会変動とともに分析するという視座が既存研究において欠落していることが確認でき、得られた知見をさらに深める必要性を日韓の研究者で共有できたことは予想以上の成果であった。親族関係や婚姻関係を通じての移動ネットワークが詳細に把握できたことも貴重な成果であった。これらを踏まえ、新たな調査対象地域を選定できた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の調査成果を踏まえたうえで、今年度は歴史資料を活用しながら、済州島からの渡日者が多い地域での調査を実施する。前年度の成果から、村単位で調査することによって近隣村との関係も視野に入れることも必要であることが確認できた。今年度は、解放後に密航で渡日した人びとの姓名および出身村が記載された公文書を調査資料として参照しながら、当該地域においての移動ネットワークの解明を試みる。これにより、文書資料のみの記録をより生活実態に即した形で捉えることが期待できる。 また、今年度は前年度の成果について韓国での学術大会で報告することが予定されており、報告をめぐっての意見交換が今年度以降の調査研究の展開へ繋がることが予想される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
韓国でのインタビュー調査データの文字起こしについて、今年度予定した作業依頼が延期になったため。 インタビュー調査データの文字起こし謝金。
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Research Products
(11 results)