2012 Fiscal Year Research-status Report
移動と定住における類縁関係の発動と制度化に関する研究
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24530641
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shimonoseki City University |
Principal Investigator |
叶堂 隆三 下関市立大学, 経済学部, 教授 (50224580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 尚俊 山口大学, 人文学部, 教授 (10240194)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 移動 / 類縁関係 / コミュニティ形成 / 都市集住地 / 開拓地 |
Research Abstract |
「移動と定住における類縁関係の発動と制度化に関する研究」において、九州地方のカトリック信徒の出身地と移動後の集住地(出身地と移動先で1セット)の状況および移動の形態やプロセスを把握するために、2012年8月に長崎県上五島地区および長崎市、鹿児島県奄美大島、9月・11月に鹿児島市、2013年2月に奄美大島、3月に宮崎市で聞き取り調査を実施した。 聞き取りの実施数は、平成24年度の研究実施計画の4セットのうちの半数に加えて新たに発見した集住地(宮崎市)である。宮崎の集住地は、奄美大島調査で奄美大島出身者の移住先の情報を入手して、急きょ実施したものである。宮崎市の集住地での聞き取りの結果、実は、長崎の信徒が開拓した地であることを発見した。この地に関しては、平成25年度にさらに調査を進めていく予定である。平成24年度の残りの2セットに関しては、平成25年度以降の調査で調査を実施していくことにしたい。 平成24年度に実施した調査の中で、奄美大島・鹿児島市に関する調査の結果に基づいて「奄美出身者の選択的移動とコミュニティの形成―鹿児島市鴨池地区における集住と類縁関係の制度化」(下関市立大学論集142号、2012年)にまとめた。本論では、送り出し集落の押し出し要因とともに、鹿児島市鴨池地区に奄美出身者が集住する経緯について、アメリカの統治や大島紬の製造等を含めて、明らかにしている。しかし、その後の聞き取り調査を通して追加の資料や情報を入手したために、再度、奄美大島・鹿児島のセットについて論をまとめたいと考えている。また、2012年の西日本社会学会第70回大会(会場、鹿児島大学)において、「奄美地域出身者の選択的移動とコミュニティの形成―鹿児島市鴨池地区における集住と類縁関係の制度化」の報告を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、交付の初年のために調査の開始がやや遅れた。また、当初予定した調査対象地の半数での聞き取りにとどまった。しかし、交付以前の研究の積み重ねがあること、また、丁寧な調査を実施したことで新たな対象地の発見を含めてさまざまな資料やデータの収集につながった。こうした結果、初年度の研究業績として、論文1、報告1という成果をあげることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度実施できなかった2セットの調査対象地を含めて、合計4セットの調査を実施する予定である。また、昨年度に実施した調査をベースに論文を執筆する予定である。 研究会については共同での調査時に実施してきたが、本年度もそうした方式をとることにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
従来、ほとんど着手されていない研究のため、出身集落・移動先の調査地を訪問して聞き取りを行なうことが研究の手法であるために、平成25年度も主として、旅費に使用していく。それ以外のものでは、関連文献の購入、複写費等に使用したいと考えている。
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Research Products
(2 results)