2015 Fiscal Year Research-status Report
移動と定住における類縁関係の発動と制度化に関する研究
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24530641
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Research Institution | Shimonoseki City University |
Principal Investigator |
叶堂 隆三 下関市立大学, 経済学部, 教授 (50224580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 尚俊 山口大学, 人文学部, 教授 (10240194)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 移動 / 類縁関係 / コミュニティ形成 / 移動時期区分 / 小教区類型 |
Outline of Annual Research Achievements |
移住と定住に関する類縁関係の発動と制度化に関する研究の4年目になる2015年度は、長崎市外海地区のカトリック信徒の第2次移住地の平戸市上神崎地区・第3次移住地の平戸市田平地区・佐世保市、第4次移住地の平戸市平戸口地区・福岡市西区能古島等での聞き取り調査を実施した。加えて三菱重工業の工場のある都市における信仰の展開に関して、広島県三原市で聞き取り調査を実施し、北海道への開拓移住と修道士の召命に関する資料収集を北海道函館市等で実施した。さらに宗教コミュニティの形成において外国修道会の果たした役割を把握するために、鹿児島県奄美大島で聞き取りと資料収集を実施した。 こうした聞き取りおよび資料収集に基づいて次の4論文を作成した。「平戸市北部への移住と宗教コミュニティの形成」では、明治初期以降の信徒の平戸市上神崎地区への移住の実情を第二次世界大戦後の開拓地への移住を含めて明らかした。「平戸市田平地区における宗教コミュニティの形成と展開」では、明治中期の外国人司祭主導の移住地の平戸市田平地区における多様な信徒の移住状況と田平地区からさらに周辺地区や遠く福岡市西区能古島への居住の展開を明らかにした。「佐世保市への移住と宗教コミュニティの形成」では、佐世保市への各地区への信徒の移動が一般的に想定される第二次産業への就労を目的としたものではなく就農(開拓移住)を目的としたものが多いことを明らかにした。さらに「産炭地区における宗教コミュニティの形成―長崎県北松地区への移住と平戸小教区の形成―」では、田平地区からの居住の展開と炭鉱地区の2地区を管轄する平戸口小教区の信徒世帯の移動と家族形成の状況を農業地区と産炭地区の比較を通して明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
移動時期の4区分に従って各時期の調査を実施し、各時期に関する調査と論文執筆がおおむね予定通りに進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね予定通りに研究は進捗している。しかし、聞き取り調査や収集した資料によって、新たな調査対象や関心が生まれているため、延長期間を利用してより納得のいく研究を行ない、納得のいく研究報告書を作成したいと思っている。
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Causes of Carryover |
研究の進捗に伴い、新たな研究対象と関心が生じた。そのため、第一に、新たな研究対象に対して聞き取り調査と資料収集を実施することが必要になったこと、第二に、新たな研究関心に基づいて補足調査が必要になったことである。さらに、第三に、研究報告書を第一・第二に基づく調査・資料収集の後に作成したいと考えたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度の研究費のうち半分を補足調査や資料収集に使用し、残りの金額で報告書を作成したいと考えている。
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Research Products
(4 results)