2013 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災被災者の生活再建に関する調査研究(釜石市と多賀城市を中心にして)
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24530645
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Research Institution | Sendai Shirayuri Women's College |
Principal Investigator |
高橋 早苗 仙台白百合女子大学, 人間学部, 准教授 (90285685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石沢 真貴 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (20321995)
今野 健一 山形大学, 人文学部, 教授 (70272086)
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Keywords | 東日本大震災 / 生活再建 / 社会学 / 地域コミュニティ |
Research Abstract |
本研究は、東日本大震災(特に津波被災者)によって大きな問題に直面する被災者に焦点をあて、異なる地域性を有する2つの都市(岩手県釜石市と宮城県多賀城市)を調査対象者に選び、継続的インタビュー調査を通じて、個々の被災者が生活を再建し、地域社会に位置づくプロセスを明らかにすることを目的とした。 研究2年目の平成25年度は、当初の予定通り、3つの調査を並行して実施したが、特に「A釜石調査」を先行的に実施した。今回も前年度の研究を継続して、調査対象地である岩手県釜石市に赴き、復興状況の確認と、仮設住宅の立地場所の確認を行った。さらに、釜石と市域を接している大槌町、さらに北部に位置する山田町の復興状況の確認と資料収集を行った。 特に、今年度は震災復興を象徴する重要なイベントを観察することに重点をおいた。具体的には、2013年9月に実施された「釜石よいさ」祭り、2014年3月の大規模ショッピングセンター「釜石イオンタウン」のオープン時に訪問した。 また、「C学生に対するアンケート調査」は、平成24年に実施したものを高橋が中心になって集計し、第1次報告として報告書にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度当初の計画では、「A.釜石調査」、「B.多賀城調査」、「C.学生アンケート調査」の3つの調査を並行して実施することにしていたが、最も力を注いでいるのは、「A.釜石調査」である。釜石では、「釜石イオンタウン」の出店という新たな要素が加わったため、個人に対するインタビューだけでなく、まちの復興そのものも調査研究の対象に加えた。また、「C.学生アンケート調査」では、平成24年度内に調査を実施した調査票を集計し、その結果(第1次)を報告書にまとめた。感想等を自由に書ける「自由記述」欄への記述率が高く、内容も充実した回答が多かったため、調査実施の意義があったと思われる。 一方、上記2つを重点的に取り組んだため、「B.多賀城調査」は、現在、資料収集や震災復興の視察を中心に行っており、本格的な調査には着手できていない。このことから、当初の予定よりも「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の3年目(最終年)として、引き続き、「A釜石調査」、「B多賀城調査」、「C大学生調査」の3つの調査を実施する。「A釜石調査」については、初年度に実施したインタビュー調査の協力者に、あらためてインタビューを行う予定である。さらに、周辺の大槌町・山田町を引き続き訪問し、「復興ツーリズム」事業のあり方を検討することにしたい。「B多賀城調査」については、「地域調査」の側面を重視し、事業所の復興状況に関する実態把握や、多賀城市の復興計画の具体化に伴う空間編成に着目して調査を実施する。ここでも、「復興ツーリズム」への取り組みをあわせて把握したい。 「C大学生調査」では、2回目の調査票調査を実施したいと考えている。それぞれの大学で100名以上の回答が得られるよう計画的に実施していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3つの調査研究(釜石調査、アンケート調査、多賀城調査)を並行して実施しているが、そのうち2つ(釜石、アンケート)を重点的に取り組んだため、残る1つの調査研究(多賀城)にかかわる支出が抑えられた形となった。 また、出張時には被災地訪問のため、レンタカーや自家用車で複数人が乗り合わせることで、出費を抑えるための努力をしていることも、残額が生じる要因となっている。 平成26年度は、繰越金とあわせて約53万円の研究費となる。研究の最終年として、2つの地域調査(釜石・多賀城)と仙台での研究会の出張費として「旅費」・「その他」(レンタカー代)に21万円、資料・図書の購入やデータ処理に関する物品の購入代として「物品費」に23万円、データ入力補助の「人件費・謝金」として3万円、報告書の製作に「その他」として6万円を使用する計画である。
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Research Products
(2 results)