2015 Fiscal Year Annual Research Report
原発事故・避難に伴う地域社会の維持に関する社会学的研究―広野町と楢葉町を事例に
Project/Area Number |
24530647
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Research Institution | Iwaki Meisei University |
Principal Investigator |
石丸 純一 いわき明星大学, 教養学部, 教授 (20326789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 真弓 いわき明星大学, 教養学部, 教授 (20307789)
大橋 保明 名古屋外国語大学, 外国語学部, 准教授 (30387667)
高木 竜輔 いわき明星大学, 教養学部, 准教授 (30512157)
柳澤 孝主 いわき明星大学, 教養学部, 教授 (60310223)
菅野 昌史 いわき明星大学, 教養学部, 准教授 (70379494)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 原発避難 / 避難者受け入れ / 住民票 / 長期避難に伴う意識 / コミュニティ形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である今年度は、これまでの調査研究(関係者へのヒアリング)を踏まえて、楢葉町の住民を対象とした質問紙調査を実施した。 これまで復興庁や福島県など関係機関が世帯を単位として質問紙調査を毎年実施している。そこにおいては比較的年齢層の高い人からの回答が多い傾向にあった。そのため、本質問紙調査に関しては、楢葉町役場との協議の上、若年層を対象とした調査を実施することになった。 調査は楢葉町に住民票を置く16歳から49歳までの全住民を対象として、2015年10月に実施した。調査は、楢葉町の避難指示が解除されてすぐのタイミングに実された。調査においては現在の避難状況に加えて、長期避難に伴う意識、復興に対する評価、精神的状況に関する質問、これからのまちづくりに対する意識、などについて尋ねた。 主要な調査結果は次の通りである。(1)避難状況としては、多くの人がいわき市に避難しており、6割程度の人が仮設住宅・借り上げ住宅にて生活していた。他方で避難先において持ち家を購入していた人も2割程度いた。震災で休職・失業した人が15%おり、原発事故の影響は未だに続いていた。(2)精神的状況に関してはSQDによるスクリーニング項目を用いて検証した。その結果、PTSD症状の可能性がある日とが29%、うつ症状の可能性がある日とが38%いる可能性があることがわかった。(3)長期避難に伴う意識としては、(a)避難元だけでなく、避難先についても関与したいという意識が多く見られたが、しかし(b)避難者に対する受け入れ住民からの否定的なまなざしを強く感じている人が多く見られた。(c)避難者として権利を要求すべきだという回答が半数近くを占める一方で、避難者という意識が現時点でない人が38%ほどいた。今後、これらのデータを詳細に分析していく予定である。
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