2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24530656
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
秋吉 美都 専修大学, 人間科学部, 教授 (40384672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 真由美 富山大学, 経済学部, 准教授 (30401269)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ジェンダー / 幸福度 / ワークライフ・バランス / 女性 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度は26年度までの分析を継続して実施した。成果についてはAmerican Sociological Association、PlosOne、日本社会学会で公表した。また2016年7月には研究成果の一部を書籍の章として公表することが確定している(2016年5月現在では印刷中)。 本研究の研究課題は、家庭と仕事を両立することは、はたして女性の幸福につながっているか、というものである。研究課題に照らして、本研究では(1)幸福度と就業状況および婚姻状況の関係の分析、(2)家事分担の負担感と幸福度の決定要因の検討に焦点をあてる分析を進めてきた。 (1)幸福度と仕事、および家庭の関係については、結婚と幸福度の関係が強いことが確認された。このことは既存研究の知見とも一致する。一方、就業には幸福度を低下させる効果が認められた。また、子どもも幸福度を低下させる傾向がある。子なし既婚女性の幸福度は高いが、子あり既婚女性の幸福度と子無し独身女性の幸福度はほぼ同程度である。この傾向は、「結婚は幸福をもたらすが、子どもの存在は結婚による幸福度の上昇を打ち消すほどのマイナス効果がある」と解釈できる。就業による幸福度の低下と子どもの存在による幸福度の低下は、仕事と家庭の両方に関与することを非最適的な選択にしているといえる。 (2)家事分担の負担感に関する研究からも、仕事と家庭の両立が幸福度の向上につながりづらいことが明らかになった。妻の収入が増加するにつれて、妻が感じる家事分担の不公平感は強まり、幸福度は低下する傾向がある。また、不公平感は「他の自分と似た人との比較」にも影響される。 本研究の意義は、ワークライフバランスを追求する選択肢の含意を、幸福感に注目して明らかにしたことである。また本研究では女性の意識や行動に関する貴重なデータがえられた。このデータについては、論文の補助資料として公開済である。
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Research Products
(6 results)